今回は「インドのスマートフォン市場」を取り上げてご紹介いたします。
先日(4/18)、米アップルがインドのムンバイに初の直営店を開設したという報道がありました。また、同社ティム・クックCEOが、インドのモディ首相や、タタ・グループやリライアンス・インダストリーズなどの現地財閥の会長と会談したと報道されています。
米アップルが、これからインドを製造面・販売面ともに重要な国と位置付けて、市場を開拓していこうという方針が報道から伺えます。
確かに、インドは人口規模が中国を抜いて世界最大になると見られており、市場としての重要度が高まっています。米アップルに限らず、インド市場開拓を強化する方針の企業も増えています。
それでは、インドのスマートフォン市場は世界的に見てどのくらいの規模なのでしょうか。スマートフォンの普及・浸透率は、世界的に見てどの程度なのでしょうか。今後、どの位伸びることが予想されているのでしょうか。
また、インドのスマートフォン市場で、アップルはどの位シェアを確保していているのでしょうか。
実際に数字、事例を見て確認したいと思います。
まず、世界のスマートフォン利用者数上位国(2022年)を見てみます。
最も利用者数が多いのは中国で、9.75億人(普及率68%)となっています。次いで多いのはインドで6.59億人(普及率46%)となっています。以降、米国2.76億人(同81%)、インドネシア1.88億人(同68%)、ブラジル1.43億人(同66%)と続きます。なお、日本は利用者数約9700万億人(同78%)と世界で7番目の多さとなっています。
次にインドのスマートフォン利用者数の推移・将来予測を見てみます。
2010年時点では3400万人程度(普及率2.8%)でしたが、そこから増加トレンドで、2013年に1.29億人(普及率10%)と1億人を突破し、2020年には7.48億人(普及率54.2%※)に達しています。以降、将来予測では2023年10.1億人(普及率71%)と10億人を突破し、2038年15.1億人(普及率95%)に15億人を突破しています。2040年には15.3億人(普及率95.8%)と予想されています。
(※:調査期間が異なるため、数字の規模感に差が生じます)
インドのスマートフォン市場におけるベンダー別シェアを見てみると、出荷台数ベース(2022年)ではXiaomiが最も高く20%となっています。次いでSamsungが19%、以降vivo(16%)、rearlme(14%)、oppo(10%)と続きます。Appleは4%と他のベンダーと比べて大きな差があります。
金額ベースの市場シェア(2022年)で見ると、トップがSamsungの22%で、次いでAppleが18%となっています。以降vivo(15%)、Xiaomi(14%)、Oppo(9%)と続きます。
ちなみに、Appleのシェアは、2021年の14%から4ポイント上昇しています。
こうしてみると、インドのスマートフォン市場は、利用者数でみると現時点でも中国に次ぐ世界2位の市場となっていることが分かります。しかもスマートフォンの普及率・浸透率が、中国や他の先進国と比べると未だ低いため、今後も拡大余地が大きい市場であることが分かります。
市場シェアで見ると、出荷台数ベースではシェアが低いものの、金額ベースではAppleは2番目の市場シェアを確保しており、シェア自体も拡大していることが分かります。高価格帯のAppleのスマートフォン(iPhone)がインド市場でも広がっていることが分かります。
これらの背景から、米中対立なども含めて考えると、アップルにとってインド市場が、製造拠点として、販売拠点として非常に重要な役割を果たすということが容易に想像できます。
インドの所得水準が向上し、アップルのiPhoneが広まると、アップルのその他の関連製品(Macやタブレット、ワイヤレスイヤフォン、スマートウォッチ)やサービス(AppleTV+、AppleMusic)なども、現在よりもユーザーが大きく増える可能性が高いものと考えられます。アップルの動きから、インド市場の変化を見て取ることが出来そうですね。
出典:
Newzoo “Top Countries/Markets by Smartphone Users”
Statista “Number of smartphone users in India in 2010 to 2020, with estimates until 2040”
カウンターポイント社プレスリリース