業界ウォッチ 2024年5月7日

【データから読み解く】こどもの数・こども関連ビジネス市場

今回は「こどもの数・こども関連ビジネス市場」を取り上げてご紹介いたします。

毎年5月5日の「こどもの日」の前日(5月4日)に、総務省から「我が国のこどもの数」(15歳未満人口)に関する統計が発表されています。今年(2024年)も、発表されており、2024年4月1日時点でのこどもの数は1401万人と、43年連続の減少となっています。同時点でのこどもの割合(総人口に占める15歳未満人口の割合)は、11.3%と、50年連続の低下となっています。

少子化の問題が議論されるようになって久しいですが、実際にどの程度減少しているのでしょうか。高齢者の増加と比較するとどのような違いがあるのでしょうか。また、地域別に見ると、子どもの多い地域・少ない地域、子どもの割合の高い地域・低い地域にどのような違いがあるのでしょうか。

さらに、こども関連ビジネス市場は、少子化によって市場規模はどのような変化があるのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。
number of children

まず、こども・高齢者数の推移(1950~2024年)を見てみます。こどもの数は、1950年は2943万人で、1955年には2980万人と増加しています。以降減少トレンドとなり、1970年には2482万人となっています。以降、団塊ジュニア世代の誕生も有り増加トレンドとなり1985年に2604万人となっています。1985年以降は、一貫して減少トレンドとなっており、2000年に1851万人と2000万人を割込み、2024年には1401万人となっています。1955年の約半分にまで落ち込んでいます。

一方、高齢者数は1950年は411万人で、以降は一貫して増加トレンドとなっており、1980年に1065人と1000万人を超え、2000年には2204万人とこどもの数(1851万人)を宇和まる用になっています。2015年には3387万人と3000万人を超え、2024年には3625となっています。

次に、都道府県別のこどもの数・子供の割合を見てみます。最もこどもの数が多い都道府県は東京都で151万人となっています。次いで神奈川県(103万人)、大阪府(98.4万人)、愛知県(92.7万人)と続きます。最もこどもの数が少ない都道府県は鳥取県で6.5万人となっています。次いで高知県(7.0万人)、徳島県(7.4万人)、島根県(7.7万人)と続きます。

こどもの割合でみると、最も高いのは沖縄県で16.1%となっています。次いで、滋賀県(13.0%)、佐賀県(12.9%)、熊本県(12.8%)と続きます。こどもの割合が最も低いのは秋田県の9.1%となっており、次いで青森県(10.0%)、北海道(10.1%)、岩手県(10.3%)となっています。

こどもの数は、大都市が上位に来ますが、子どもの割合では、沖縄・九州が高く、東北地方・四国地方はこどもの割合が低い傾向にあることが分かります。

次に、こども関連ビジネス、ベビー関連ビジネスの市場規模推移を見てみます。こども関連ビジネス市場は、2017年に10.3兆円で、2019年に10.7兆円と増加していますが、2020年には新型コロナの影響で9.7兆円へと落ち込みます。以降増加トレンドとなっており、2023年には10.7兆円へとコロナ前と同規模にまで回復しています。

ベビー関連ビジネスは、2017年は3.9兆円でしたが、以降微増トレンドとなっており、2023年は4.4兆円となっています。

こうしてみると、「こどもの数」は大きく落ち込んでいますが、「こども関連ビジネス」はコロナ禍以降増加トレンドとなっており、「ベビー関連ビジネス」も微増トレンドとなっていることが分かります。こども一人当たりにかける予算が増えていると考えられます。

また、こども関連ビジネス市場を地域で展開するとしたら、やはり、「こどもの数」が多い(人口規模が大きい)首都圏・名古屋・関西などの大都市が有力と言えます。「こどもの割合」で捉えると、九州・沖縄地方などでの展開が有力といえそうです。

資料
・総務省、我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで- (「人口推計」から)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1410.html
・矢野経済研究所プレスリリース
こども関連ビジネス市場に関する調査を実施(2023年)
ベビー関連ビジネス市場に関する調査を実施(2023年)