今回は「日本のアニメ・映像コンテンツ産業」を取り上げてご紹介いたします。
日本のコンテンツ産業が、日本の有力な輸出産業として注目をされるようになっています。デジタル分野での国際収支赤字を「デジタル赤字」と称して、これが2023年に5.5兆円になるとして話題となりました。その一方、日本のコンテンツ産業がデジタル赤字を取り戻す産業になりうるとの見方をしている経済産業省関係者のコメントなどの報道もあり、コンテンツ産業への期待が高まっているようです。
確かに、日本のコンテンツ産業は世界的人気が高いと指摘されることが多いですが、世界的にみると、どのくらいの規模で、どのくらい伸びているのでしょうか。
また、日本のコンテンツ産業が海外で稼いでいる内訳は、ゲーム、アニメ等でどのような構成比になっているのでしょうか。また、アニメ・実写(映画・TV)などの映像コンテンツ分野でみると、日本の海外収入は、他国の同映像分野での海外収入と比較するとどのくらいの規模なのでしょうか。また、その内訳をみると、日本と他の国々とで、どのような違いがあるのでしょうか。
実際に数字を見て確認したいと思います。
まず、世界各国のコンテンツ市場規模を見てみます。2022年時点でみると、最も大きいのは米国で75.5兆円となっています。次いで大きいのが中国で33.2兆円となっています。日本は3番目で13.1兆円となっています。以降、英国(10.2兆円)、ドイツ(9.8兆円)、韓国(4.9兆円)と続きます。2011年から2022年の伸びでみると、最も大きいのは中国で年平均成長率(CAGR)は18.7%となっています。次いで大きいのは米国で、同11.3%となっています。以降、CAGRの大きい順では、韓国(9.4%)、英国(8.3%)、ドイツ(5.2%)と続きます。日本は同2.1%となっており、他の国と比べると伸び率ではやや見劣りしています。
次に、日本のコンテンツの海外売上のジャンル別の内訳をみてみます。
2022年の日本のコンテンツ海外売上は合計で4.69腸炎となっています。その内訳をみると、最も大きいのは、「ゲーム」で2兆7,780億円となっており、全体の59.3%を占めています。次いで大きいのは「アニメ」で1兆4,592億円となっており、全体の31.1%を占めています。以降、「出版」が3,200億円で6.8%、「映画・テレビ」が1,310億円で2.8%となっています。「アニメ」と「映画・テレビ」を合計した「映像コンテンツ」でみると、1兆5902億円(33.9%)となっています。
次に各国の映像コンテンツによる海外収入を比較してみます。
最も大きいのは米国で143.9億ドルと、他国と比較して圧倒的な規模なっています。内訳をみると、「映画・テレビ放送等のライセンス」が9.1億ドル、「映画配給・放送サービス・映像ソフト販売・映像配信」が134.9億ドルとなっています。
次いで大きいのがフランスで、10.2億ドルとなっています。内訳をみると「アニメライセンス」が1.3億ドル、「実写映画ライセンス」が4.5億ドル、「TV番組ライセンス」が4.4億ドルとなっています。日本は3番目で、9.7億ドルとなっており、内訳は「アニメライセンス」が7.5億ドル、「実写映画ライセンス」が1.5億ドル、「TV番組ライセンス」が0.7億ドルとなっています。韓国は4番目で8.7億ドルとなっており、内訳は「アニメライセンス」が1.3億ドル、「実写映画ライセンス」が0.5億ドル、「TV番組ライセンス」が6.9億ドルとなっています。
こうしてみると、日本のコンテンツ産業は、米中には劣るものの市場規模が大きく、特にゲーム、アニメが強いことが分かります。
映像コンテンツ分野で、海外と比較すると、日本の「アニメ」の強さが際立ちます。また、米国は「映画配給・放送サービス・映像ソフト販売・映像配信」といった、映画産業や動画配信プラットフォームなどを背景とした強さが見て取れます。韓国の場合は、「TV番組ライセンス」が大きく、韓流TV番組コンテンツの人気を反映していることが見て取ることができます。
日本のアニメの圧倒的な強さは、国内の豊富なクリエーターに支えられているところもあり、そのクリエーターにしっかりと収益を還元できるような仕組みを構築することが、今後もアニメ産業でコンテンツ産業をけん引していくには重要になりそうです。