業界ウォッチ 2025年3月11日

【データから読み解く】食料品物価指数動向

今回は「食料品物価指数動向」を取り上げてご紹介いたします。

近年は国内の物価高、特に食料品・コメの物価高騰が大きな問題として、報道に取り上げられることが多くなっています。特にコメの価格高騰は、日常生活に大きな影響を与えるものとして大きな話題となっています。コメ不足が高騰の要因として、小売りの現場だけでなく、生産者や流通段階などの状況に関する報道も数多くなされ、政府も備蓄米の放出を決めるなど注目が集まっています。

食料品に関しては、確かに高くなったとの実感値もありますが、実際にどういった食料品の価格が、どのくらい価格上昇しているのでしょうか。また、主に価格高騰が話題になっているコメの他、何度か話題になっていたコーヒー豆や、キャベツ・はくさいの物価動向はどうなっているのでしょうか。どのように推移し、どのくらい高騰しているのでしょうか。

実際に数字を見て確認したいと思います。
food price trend

まず、品目別物価指数から、食料品に関する品目毎の物価指数の動きを見てみます。2020年平均=100とした基準をもとに、2025年2月時点で物価指数の伸びが高い上位品目と、伸びがあまり大きくなかった品目を見てみます。

最も高かったのは、「はくさい」で186.4(2025年2月時点、2020年基準、以下同様)となっています。次いで高かったのは「うるち米B」で185.3となっています。以降、高い順に「キャベツ」(183.9)、「みかん」(182.5)、「いか」(178.9)、しらぬひ(175.7)、「うるち米A」(175.2)と続きます。一方、物価指数の伸びが最も低かったのは「うなぎかば焼き」で86.3と、2020年時点を下回った状況となっています。次いで低かったのは「れんこん」で91.6で、以降「ビール」(97.7)、「たれ」(98.4)、「キムチ」(98.6)と続きます。

次に、主な食品品目の物価指数の推移(2020年1月~2025年2月)を見てみます。

コメの物価指数の動きを見てみると、「うるち米A」と「うるち米B」はほぼ同様な動きをしていますので、ここでは物価が高い「うるち米B」を取り上げて、推移を見てみます。「うるち米B」は2025年1月時点は100.5で、以降は微減トレンドとなっており、2022年8月には90.0となっています。以降は微増トレンドに転じ2023年11月に100を超え、2024年3月(103.6)以降は急増トレンドとなっています。2025年2月時点では185.3と急騰していることが分かります。

コーヒー豆の動向を見てみると、2020年1月時点は102.3で以降上下しながら概ね横ばい傾向で続いていましたが、2021年10月(116.1)に一度急上昇します。以降は、上下しながら概ね上昇トレンドとなっていますが、2024年9月以降急騰し、2025年2月には158.6となっています。

次に「はくさい」と「キャベツ」の動きを見てみます。どちらも共通して価格変動が大きい傾向にあります。「はくさい」は2020年1月は80.7でしたが、2020年4月に199.8と急騰しています。2020年8月にも229.5まで急騰しています。以降は変動幅が大きい状況を続けながら、2025年2月時点は186.4となっています。「キャベツ」は、2020年1月時点は81.3で、同様に変動幅が大きい状況が続きながらも100~150の間で推移していましたが、2024年8月以降急騰しており、2025年1月時点で281.4となっています。翌2月には183.9と大きく落ち込んでいます。

こうしてみると、総じて物価が上がっている品目が多くなっていますが、品目によっては物価が低下している品目も存在していることが分かります。物価指数上位品目の数値は180代と、2020年と比較すると倍近くになっていることが分かります。

個別品目の推移をみると、コメは2024年前半時点までは比較的安定していましたが、2024年6月ごろから急騰しています。コーヒー豆は2024年10月ごろに急騰しており、キャベツなども2025年1月に急騰するなど、2024年後半から2025年1-2か月で急騰している品目が多いことが分かります。最近は、コメを中心に食料品の物価高騰が話題になることが多いですが、実際に数字で見ても最近の高騰状況が良く分かります。

数値では、その傾向はわかりますが、その要因は様々な指摘がありますが、物価データだけではわからない部分も多いので、そうした定性情報と合わせて、データの傾向と、今後の見通しと、今後の対策について考えてみたいですね。

資料:
総務省「消費者物価指数(2020年基準)」