今回は「クリエイターエコノミー」を取り上げてご紹介いたします。
最近、米Facebookなどのプラットフォーム大手がクリエイターの収益化を支援する機能を取り入れています。「ユーチューバー」、「インスタグラマー」、「ティックトッカー」と呼ばれる大手SNSプラットフォームを通じて収益を得るようになっており、こうした個人の創作を通じた経済活動支援する動きが活発化しています。
これまでも、個人による動画配信など広告収入を中心として収益を得る機会がありましたが、最近では「投げ銭」や「コンテンツ販売サイト」、「会費制・サブスク」収入など、収入を得る手段が増えています。
このような背景から、個人クリエイターを取り巻く経済圏「クリエイターエコノミー」が注目を集めるようになっています。
それでは、こうしたプラットフォームを活用して創作活動を行うクリエイターは世界にどのくらいいるのでしょうか。また、どのプラットフォームを主に利用しているのでしょうか。クリエイターの創作活動・経済活動を支えるスタートアップにどのくらい投資が集まっているのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。
まず、世界のクリエイター数を見てみます。プロとしてフルタイムでコンテンツを制作している人は200万人規模ですが、アマチュアとして活動している人は4670万人と、合わせるとおよそ5000万人近い規模ということが分かります。
また、どのプラットフォームを主に利用しているのか見てみます。最も多く利用されているのがInstagramで72.2%となっています。次いでTikTok(13.4%)、YouTube(9.4%)と続きます。
次に、これらのクリエイターの活動を支えるツールを提供するスタートアップなどが多数生まれてきており、その資金調達額がどう推移しているのか見てみます。2016年は1.06億ドルでしたが、そこから増加トレンドで20年に4.46億ドルとなっています。2021年は、劇的に伸びており、年初から半年程度で13億3800万ドルと、20年の3倍近くの規模に拡大しています。
ツールの種類としては、コンテンツ制作ツール、サブスク管理ツール、ファンとの交流ツール、NFTなどのブロックチェーン、クラウドファンディング・投げ銭などの資金調達ツール、物販などのコマースツール、ライブ配信ツール等々があります。
こうしてみると、クリエイターが収益を得る手段として、広告や、創作物の売買以外にも様々な方法があり、それらを支えるツール・サービス自体もビジネスとなり、経済圏が形成されていることが分かります。
かつてインターネットが登場したころに、個人が力を持つようになると言われて、その後にSNSが成長した時期にも個人の情報発信が大きな力を持つと言われ、実際に大手メディアが影響を受け、政治まで影響を受けるようになりました。今回は、個人が情報を発信するだけでなく、個人のコンテンツ創作活動から収益を得られる手段が広がってきたとも言えます。
この変化が何をもたらすのでしょうか。個人同士がつながる組織形態や、仕事の在り方の変化など、より変化が加速していく可能性がありそうですね。
<出典>
“SignalFire’s Creator Economy Market Map”
“Creator Earnings: Benchmark Report 2021”
“The Creator Economy Explained: How Companies Are Transforming The Self-Monetization Boom”