執筆:mbaSwitch編集部
ケーススタディは、実践的なビジネススキルをブラッシュアップするのに最適な学習方法で、MBAを取得できる大学院(経営大学院)や社内外の研修など、さまざまな場所で活用されています。
本記事では、ケーススタディの意味や進め方、ビジネスを始めとした多分野での活用方法、関連語であるケースメソッド、ケースブックメソッド、ケーススタディ試験の意味など、ケーススタディへの理解が深まる知識や情報をご紹介します。
ケーススタディ(case study)とはどんな意味なのでしょうか。
辞典では、「現実に起こった具体的事例を分析、検討し、その積み重ねによって帰納的に一般的な原理、法則を引き出す研究法。事例研究。個別調査」と定義されています(『精選版 日本国語大辞典』小学館より)。
ケーススタディを一言で表すなら、「事例研究」です。ビジネスだけでなく、医療や教育などさまざまな分野で行われます。実際に起きた多様な事例(ケース)を教材として、最適な解決方法を思考する訓練を行います。
ケーススタディを行うことで、理論の学習だけでは得られない、現実の問題解決に結びつけるスキルを養うことができます。
また、疑似体験を通して、問題解決力だけでなく、分析力や洞察力、論理的思考力、戦略構築力など、経営者やリーダーに必要な能力を養成することができます。
ビジネス、医療、教育の各分野で、ケーススタディがどのように活用されているか見ていきましょう。
ビジネスにおけるケーススタディは、主に経営大学院(MBAを取得できる大学院)で学習することができます。また、社内外のビジネス研修などでケーススタディを実施することもあります。
新入社員向けのケーススタディもあれば、リーダーや管理職向けのものもあり、企業の管理職や経営者が直面した具体的な事例を疑似体験することで、座学だけでの習得が難しい能力を徐々に高めていくことができます。
ケーススタディで身につくスキルは、リスク回避、アイディア創出、結果を出すまでの時間を短縮する能力などです。ビジネス上の困難な事態への対応に慣れることもできます。
就職試験の一環として、グループ面接でケーススタディを取り入れている企業も存在します。グループ面接におけるケーススタディでは、一つのケースについてグループ内でディスカッションしてもらい、就活生一人ひとりの発言内容などを評価します。
経営大学院では、ビジネス現場における意思決定を問うケーススタディを行うことが多いです。たとえば、新規事業への投資やアライアンスの判断、既存事業のコンフリクトや赤字解消をケーススタディのお題として取り上げることがあります。
ビジネスにおけるケーススタディでは、与えられた情報や自身の知識から、短期間でいかに適切な判断ができるかが求められます。
医療現場では、医師や看護師などの専門職が集まってケーススタディ(症例検討会)を行います。一つの職種で集まることもあれば、多職種でディスカッションすることもあります。
また、介護の現場でも、介護福祉士やケアマネジャーなどが、同様にケーススタディを実施することがあります。
医療や看護、介護においては、一人の患者さんの症例のことを「ケース」と呼ぶ場合があります。医療関連の現場では、一人ひとりの患者さんに合った対応が求められるため、ビジネスの現場と同じく、瞬時に的確な判断を下せる能力が求められます。
たとえば、「同じ術式をしたAさん、Bさん、Cさんのうち、Aさんだけ術後の回復が遅いのはなぜか?」など、実際に病院やクリニックで起こった事例を元に、複数の患者さんの症例を比較するようなケーススタディも多く行われます。
教員や学校の管理職がケーススタディを行うこともあります。
教員のケーススタディでは、授業の事例や学生への指導事例から、授業や指導の改善方法を考えることが多いです。
一方、管理職のケーススタディでは、主に学校現場で実際に起こった事件や事故、トラブルなどを事例に、どのように対応するか、関連法令なども含めた解決方法や今後の防止策を検討します。
続いて、ビジネスにおけるケーススタディのやり方、進め方をご紹介します。以下の方法は、一人でも複数人のグループでも行えます。
授業や研修などで事例(ケーススタディのお題となるもの)が用意されている場合、この手順は不要ですが、自分たちでケーススタディを実施する場合、まずは取り上げる事例を探すところから始めます。
自社や自分の過去のビジネス経験を事例として取り上げるほか、日頃から参考になりそうな新聞記事を切り抜いておいたり、インターネットで検索したり、ケーススタディの関連書籍を読んだりしておくと、事例を探しやすくなります。
事例を決めたら、第三者が理解できるような事例説明と、ケーススタディの最終ゴール(「問題点を洗い出し、解決策を編み出す」など)を決めます。
お題が完成したら(提示されたら)、まずは事例の読み込みを行います。事実の背景や関係を把握し「起こっている(起こる可能性のある)事実」を洗い出します。
お題に書かれた内容にほしい情報が不足している場合は、現実でもするように合理的な推論で補います。
事例の把握が完了したら、この事例の「問題」を明確にします。問題はひとつだけでなく、複数挙がるはずです。複数の問題の相互関係を把握し、問題に優先順位をつけましょう。そして、本事例で解決すべき問題は何かを絞り込みます。
核となる問題点を見つけ出すには、原因分析型と目的手段分析型を理解しておくとスムーズです。
原因分析型:問題(目的実現の障害)の原因を、「なぜ?」「なぜ?」と何度も繰り返し考えていくことで、特定化していきます。そして、現状に「何がないのか」「何ができていないか」といった問題の理由や要因を洗い出します。
目的手段分析型:目的実現に必要な手段、たとえば「何をすればいいか」「何があればいいか」「何ができればいいか」といったことをブレイクダウンし、具体化していきます。
絞り込んだ問題の解決方法について考えてきます。まずは思いつく解決手段を洗い出してから、より有効な手段だけに絞り込むと解決方法を定めやすいです。
解決方法が決定し「結論」が出せたら、グループでケーススタディを行う場合は、グループ内で各々の結論を共有します。一人で行っている場合も、思考を整理するためにもPCや紙に書いてまとめるなど、何かしらの形でアウトプットするのがおすすめです。
そして、実際の事例ではどのように対応したのか確認します。最終的に成功した事例であれば、この対応方法がいわゆる正解、解答となります。
ただし、ケーススタディは扱った事例でその後どのように対応したか、が唯一の解答とは限りません。自分の出した結論やほかの人の結論から、さまざまな視点や発想、解決方法などを学び取ることが大切です。
一般的なケーススタディのやり方をご紹介しました。
ケーススタディで取り扱うのは過去事例がほとんどですが、それはひとつの「正解」が得られやすいからでもあり、実は必ずしも過去事例を取り扱う必要はありません。
本校(ビジネス・ブレークスルー大学大学院、以下BBT大学院)は、過去事例ではなく、現在進行形の事例を取り扱い、経営者視点で問題発見・解決力などを向上できる「RTOCS(アールトックス)」という独自のケーススタディを開発しました。RTOCSについては、後ほど具体例を交えながらご紹介します。
ケーススタディのポイントは、なんといっても「具体例から学べること」です。さまざまなビジネス経験を積みたくても、自分の置かれた環境や立場、業種や職種などから、実際に経験できることはどうしても限られてきます。また、たくさんの経験を積むには、長い年月が必要となります。
ケーススタディでは、これまで自分が経験してこなかった出来事(事例)や自分と異なる立場であっても、「自分事」と捉えて思考を重ねるため、経営者や管理職などの貴重な経験を追体験することができます。
ケーススタディによってさまざまな経験を追体験するには、事例の登場人物になりきり、課題に対して「自分だったら、このように判断・行動する」と考えることが重要です。
事例は、成功例であっても失敗例であっても、ビジネスにおける重要な教訓になります。
先ほど触れた、BBT大学院独自のケーススタディである「RTOCS」は「Real Time Online Case Study」の頭文字を取った言葉です。過去の事例ではなく、今まさに起こっている事例について、「自分が経営者やトップだとしたら?」という視点で将来を予測し、具体的な戦略を考えます。
RTOCSは世界的なコンサルタントである大前研一学長の担当科目で実施しています。経営者視点や変化に強い対応力と問題解決力を徹底的に鍛えるために、毎週新しいケーススタディに取り組み、在籍中の2年間で合計100回もの思考訓練を重ねます。
提出締切日には「大前研一LIVE」という世界の1週間のニュースを大前学長が解説する番組が講義映像として配信され、その中で大前学長がお題に対して出した「結論」を発表します。
過去事例ではないため、いわゆる「正解」がひとつ存在するのではなく、大前学長の出した結論が正解というわけでもありません。大前学長がどのようなプロセスで結論を導き出したのか、情報の見方や問題を解く視点などを知り、さらに学びを深めます。
そして、大前学長の結論に加え、クラスメイトが出した結論も自分のものと比較し、どこに違いがあったのかを考え、振り返りの投稿をすることで1つのケーススタディが完了します。
これまで取り組んだお題では、誰もがよく知る大企業から急成長を遂げているベンチャー企業やユニコーン企業まで、さまざまな会社を取り上げています。また、企業の社長になるだけではなく、地方自治体や国をお題として取り上げ、首長や大統領になることもあります。
ケーススタディの関連語として、「ケースメソッド」や「ケースブックメソッド」、「ケーススタディ試験」といった言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。それぞれの用語についてご説明します。
ケースメソッドとは、具体的な実例研究を重視する教育方法のことです。現実社会で起こりうる課題について、事例の分析や検討を行い、最善の解決策を導き出せる能力を養う目的があります。
経営大学院の授業では、高頻度でケースメソッドが登場します。経営学だけでなく、法学や医学の学習においても、よく使われる教育手法です。
ケースメソッドとケーススタディは、どちらも「ケース」について思考し、議論する教育方法であり、明らかに区別するのが難しいとされています。「ケーススタディメソッド」という言葉もあるほど、似通った用語です。
両者の違いとして、ケースメソッドは能動的で教授視点の表現、ケーススタディは受動的で参加者視点の表現だといわれることがあります。
ケースブックメソッドも、ケースメソッドと同様、実際の事例研究を重視した教育方法です。「ケース」とは、判例・事案・事象のことを指し、それを集めたものをケースブック (casebook) と呼びます。
たとえば、法学におけるケースブックとは、判例集のことです。
ケースメソッドでは提示された一事例に取り組みますが、ケースブックメソッドの場合は、ケースブックを用いて学習を進めます。
MBAを取得できる大学院におけるケースブックは、企業の歴史や成功事例などが書かれた教材です。クラスで議論をする前に、事前に各自でケースを読み込んで思考を深めておくことで、積極的にディスカッションに臨めます。そして、ディスカッションを通して多様な意見を取り入れることで、よりよい課題解決につながります。
ケーススタディ試験とは、入社試験や管理職昇格試験として、ケーススタディを実施することです。グループディスカッションの発言内容などから評価されることもあれば、筆記テストでケーススタディに取り組むこともあります。
ケーススタディにおいて、唯一の正解は存在しないため、正解を導き出そうとするのではなく、自分なりの結論を出し、結論までの道筋を論理立てて人に伝えられることが大切です。
ケーススタディは、経営学を学び、MBAを取得する上で重要な教育手法です。
MBA(Master of Business Administration)とは、経営大学院の修士課程を修了することで授与される学位です。日本語訳では、経営学修士/経営管理修士(専門職)と呼ばれます。
どの経営大学院でも共通して学ぶことは、経営資源の3要素であるヒト(組織行動・人材マネジメントなど)、モノ(マーケティング・経営戦略・オペレーションなど)、カネ(アカウンティング・ファイナンスなど)に関する知識やスキルです。
この3要素を体系的に修得し、論理的思考や問題発見・問題解決のスキルなどを養うことで、経営・ビジネスで生かせる実践力を身につけることができます。
ビジネス・ブレークスルー大学大学院(BBT大学院)は100%オンラインでMBAが取得できるため、コロナウイルスの感染が心配な昨今の状況下でも、安心して学び続けられます。多忙なビジネスパーソンや海外に住んでいる方、近くに通える経営大学院がない方にもおすすめです。
先ほどご紹介したRTOCSという独自のケーススタディ以外にも、BBT大学院には多くの特長があります。
たとえば、独自の遠隔教育システム「AirCampus(R)」を活用し、オンライン学習の障壁を乗り越え、メリットの最大化を図る工夫をしています。完全オンラインのため、場所の制約から解放されます。
さらに、講義はオンデマンド式の動画なので時間の制約もなく、好きなタイミングで何度でも理論や知識のインプットができます。
講義動画の視聴だけでなく、教員や教務スタッフ、TA(ティーチング・アシスタント)とのやりとり、学生同士でのディスカッション、履修登録、レポート提出など、学習のことはすべてAirCampus(R)上で行えます。
また、ディスカッションを重要視しているからこそ、テキストベースのディスカッションを採用しています。
テキストベースであれば、他人の意見を読み、よく考えてから発言できます。多くの大学院では掲げたテーマについて授業時間内に議論を終了させますが、BBT大学院では1テーマに対して議論期間が約1週間あるため、自分のペースでじっくり思考したうえで発言し、深い議論を繰り広げられます。情報収集にも時間をかけられるのでファクトベースの意見を述べることができます。
オンラインでのコミュニケーション全般で求められる、簡潔に書く力もこのディスカッションを通して養われます。
クラスメイトとは、こうした深いディスカッションやミーティングを重ねることで密にコミュニケーションがとれます。
モチベーションの維持・向上については、教務スタッフが丁寧に進捗フォローを行い、学習サポートやアドバイスをしています。教務スタッフは、一人ひとりの学生の受講の進捗や発言頻度などを日々確認し、名前を覚えてしまうくらい常に気にかけています。通学制以上に教務スタッフが身近な存在として伴走してくれる点も、BBT大学院の魅力です。
ケーススタディを行ってビジネススキルを向上したい方には、MBA取得が最適です。
15年以上の月日のなかでオンライン学習の知見を蓄積し、オンラインMBAのパイオニアとして試行錯誤を重ねてきたBBT大学院は、毎年高い受講生満足度と修了率を出しています。
真の問題発見・解決力を身につけ、世界中のビジネスで通用する「使えるMBA」を取得したい方は、ぜひBBT大学院へ!
100%オンラインのMBAプログラムで、具体的にどのように学ぶのか、なかなかイメージできない方は、まずは説明会にご参加ください。一人ひとりがその場で疑問や不安点を十分に解消できるよう、少人数制による説明会を定期的に開催しています。
「オンライン説明会」なら、どこでもご参加可能です。参加に必要なものはインターネット環境とPC・スマホのみなので、お気軽にご参加いただけます。
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