執筆:佐藤祐樹(BBT大学院MBA本科修了、三丸化学株式会社 取締役)
対象科目:マーケティング概論(数江 良一 教授)
恋人候補と付き合うとき、どんなキャラクターを演出するべきでしょうか?
ありのままの自分をさらけ出せば、いざ恋人になれた場合、変に気取らずにとても楽に過ごすことができます。
でも、そもそも、謙虚なあなたは、ありのままの自分をそれほど魅力的だと思っていないかもしれません。
それをさらけ出してしまっては、自分を受け入れてくれる可能性が低いような気がします。
一方で、無理して、ファッションや会話内容に頑張りすぎると、いざ恋人になることが成功したあとも苦労しそうです。
その努力をし続けず、素の自分をさらけ出してしまったら振られてしまうかもしれないからです。
マーケティングの基礎はSTPです。
S:セグメンテーションとは、市場をある切り口でセグメントに分けること。
切り口に正解はありませんので、試行錯誤して切り分けていきます。
T:ターゲティングとは、セグメンテーションされて市場のどのセグメントを狙うかです。
狙いを絞るか?幅広く狙うのか?
これについても正解はありませんが、明確化しておかないと、営業の前線や販売の現場で混乱が生じてしまいます。
誰に向かってどうリーチするべきかに迷いが生じるからです。
そこで必要なのが、P:ポジショニングです。
ポジショニングは、ターゲットとするセグメントに対して自社がどう振る舞うか?という意味です。
狙いを絞って、あなたのためだけに!と攻めるのか?
それとも、幅広いセグメントを対象に、八方美人戦略を行うのか?
狙いを定めすぎると、対象となる母数が少なくなりますが、そのセグメントに特化したプロモーションが可能なので、成約率は高まります。
対象を幅広く設定すると、狙う母数が増えて安心する反面、PRが万人向けの散漫なものになる可能性があります。たくさんの対象者に対してリーチをするにはコストも掛かります。
マーケティング上、どのようなポジショニングをとるかは非常に重要な要素です。
さて、それでは、どうすればポジショニングを上手に考えることができるか?
ここで、便利で有名なフレームワーク、「4P(マーケティング・ミクス)」の出番です。
4Pとは、文字通り4つのPを考えることです。
プロダクト(商品やサービス)、プライス(価格帯)、プレイス(店舗の立地や攻める地域)、プロモーション(宣伝)。
これら、頭文字がPの4つの要素をそれぞれ考えるわけです。
4P戦略を作る際、ワクワクしながら楽しく行う便利な方法があります。
それはペルソナマーケティングです。
ターゲティングしているセグメントにいる「ど真ん中の人物、または企業・組織」を、勝手に想像してでっち上げるのです。
登場人物を考える小説家や脚本家になったつもりで、性別、氏名、生まれや育ち、学歴、勤め先、担当部署などを作りこんでいきます。
その人物像(または組織像)のことを「ペルソナ」と呼びます。
恋愛とマーケティングは似ています。
漠然と「いい人いないかなぁ」と思っているだけなら、どう行動したらよいか思いつきません。
運命的な出会いを夢見たまま年老いていきます。
でも、明確な理想像(ペルソナ)があれば、具体策ができます。
ペルソナができてしまえば、あとは簡単です。
この人が買ってくれるような商品、価格、立地、宣伝を考えればいいだけです。
佐藤祐樹
BBT大学院MBA本科 修了 三丸化学株式会社 取締役事業部長
1974年生、宮城県仙台市出身。
大学でデザイン(専門はシルクスクリーン)を学んだ後、写真業界、出版社勤務を経て現企業に転職。営業・マーケティング部門で活躍中、2011年3月に出張先で被災。
その後2年間、企業勤めの傍らボランティアセンターの運営に携わる。
2013年にBBT大学院に入学、2015年MBA取得、同年取締役事業部長に就任。事業活動の責任者としてマーケティングから人事まで幅広く担当している。
また、2015年10月に友人とコーヒーの焙煎販売を行う株式会社リュミヌー珈琲を設立。
その他、コピーライターや事業計画作成支援、大学の補助教員などのフリーランス業務も行う。
「世の中の幸福の総量を力強く増やす仕事人」を目指す愛犬家。愛犬を連れてよく遊びにも行く。
趣味は手作りスモークチーズなどの燻製を作ること。