執筆:岸原直人(BBT大学院MBA本科修了、パナソニック株式会社 デジタルマーケティング推進室 課長、アプライアンス社事業開発センター ゲームチェンジャーカタパルト Versatile Player)
対象科目:Steps to Leading Globally(Eric Francis 教授)
Active Listeningで相手の考えを受け入れ、課題を明らかにした後、リーダーには「課題解決の方向性を示すこと」が求められます。それがFeedbackです。リーダーはこのFeedbackを通じ、組織の目標達成に向けたあるべき姿と、実態のギャップを明らかにしていきます。
Feedbackを行うにあたり、相手の意見を正しい・誤っていると評価する姿勢になったり、不定期・不明瞭に行われたりしてしまっているようでは、うまくいきません。ここでは優れたグローバルリーダーとして正しくFeedbackを実行していくポイントをご説明します。
Feedback を行う場合、
の2つがあります。
Examples
・Your attitude needs to be improved.
・Your report is not professional.
・You’ve got to try harder.
主観的アプローチではご覧のように、感情面を重視し、直接的に評価をし、形容詞を含んだ表現をします。
Examples
・Your presentation went over by 10 minutes.
・You didn’t repeat the client’s request.
・You only asked questions to two of the ten people in the meeting.
一方客観的アプローチはより具体的な数値や証拠を重視し、直接的な評価をせずに、形容詞を含まない表現をします。
多様かつ異なる文化の人材から成り立つグローバルビジネスにおいて、リーダーはこの2つのアプローチを、適切に使い分け、組み合わせていきます。そして目標達成に向けて、今どのよう段階にあるのか、何を解決していくべきかの方向性を相手に伝えていきます。
またFeedback をより効果的にしていくためには、3Fs(Frequent=頻繁な、Formal and Informal=フォーマルか否か、Focused =焦点を絞った)を意識する必要があります。
適切なフィードバックをより高頻度で行うことで、共通の目標達成に向け、お互いの理解度が高まっていきます。そのためには年数回の人事考課のようなフォーマルな場だけではなく、日々のInformalな場も積極的に活用すべきです。相手の考えの良し悪しを問うのではなく、具体的にどのようなアクションをとるべきか示していきましょう。
最後にリーダー自身も相手からのFeedbackを積極的に受け入れていきましょう。相互理解が深まることで、組織の目標達成をより加速することができます。
グループコミュニケーション技法であるFacilitationは会議やプロジェクトなどの集団活動がスムーズに進むように、また成果が上がるように支援することスキルです。ではグローバルビジネス環境下で何故このスキルが必要なのでしょう?
一般的にビジネスパーソンは全勤務時間の1/5を会議に費やしています。そうであるならば、会議はある人間が一方的に話し続けるのではなく、参加者を巻き込んだ双方向のコミュニケーションで行うべきです。そのためには優れたFacilitationが必要となります。
次に多様性の問題です。グローバルビジネス環境下では、性別、年齢、人種、組織、文化等様々な異なるバックグランドを持つビジネスパーソンが集います。より多くの視点、意見を取り入れながら多様性のある答えを見出すことが、ビジネス成果にもつながります。
最後に情報の流れです。企業の情報の流れにはトップダウンとボトムアップの2つがあります。もちろんトップダウンにも意思決定の速さ等のメリットもあります。しかしお客様と接するフロントランナーである社員の声を拾い上げるボトムアップ型の情報の流れが、多様な社会に対応するビジネスアイデア創出に重要な役割を果たします。このボトムアップ型の流れを作るのが、まさにファシリテーターの役割と言えます。
では次に、具体的に会議でFacilitationを行う際、どのようなポイントをご紹介します。
まず「Why, What=この会議は何のために行うのか?」ということを全員が共通認識を持てるようにする必要があります。そして会議の運営がスムーズに進むよう、「Who=タイムキーパー、書記、要約担当(特に電話会議等で有効)」を決めることもファシリテーターの役割と言えます。
次に「How=どのように行うか」です。1つめのHowとして会議でのルール徹底があります。携帯電話・PCの電源をオフにする、相手の発言を頭から否定するようなことは禁止する等です。
2つめに、ファシリテーターが会議中行うべきなのはコンテンツを出す(例:自ら発言する、アイデアを出す)ことよりも、目的達成するために、会議プロセスをマネジメントすることです。コンテンツは会議参加者が、自ら積極的に出すようにファシリテーターが導くことが必要です。
あとは時間管理です。日本人は会議の始まりは厳守しますが、終わりに関しては厳守しない傾向にあります。時間超過しそうになったら、時間内に終わるようマネッジする、あるいは別の会議を設定する等素早い対応が必要です。
以上述べたような3W’s+Howのプロセスで皆さんもグローバルリーダーの必須スキル、Facilitationを体得していきましょう!
岸原直人
BBT大学院本科 修了生
パナソニック株式会社
デジタルマーケティング推進室 課長
アプライアンス社事業開発センター ゲームチェンジャーカタパルト VersatilePlayer
1971年埼玉県所沢市生まれ
早稲田大学卒業後、松下電器産業株式会社(現:パナソニック株式会社)に入社。国内外営業・マーケティング、海外広報を経て、2012年から2015年まで米国地域統括会社でブランドマーケティングに従事。帰国後は本社経営企画での勤務後、2017年より新設されたデジタルマーケティング推進室で、グループ全体のデジタルマーケティング化を推進中。また2018年からは、「社内複業制度」を活用し、家電部門の新規事業創出組織であるゲームチェンジャーカタパルトに参画。
大学時代始めたアメリカンフットボールに今も夢中。米国勤務時代は、全世界最大規模のスポーツイベントと言われるスーパーボウルを、『一生の一度のチャンス』と捉え、1席数十万円のチケットを購入して観戦。また、現在も40歳以上のメンバーで構成される『シニアアメリカンフットボール』のチームに所属し、プレーを継続。アメフト以外でも、トレイルランニングに熱中。毎年複数の大会に参加している。また「トレーニングで街創り」というビジョンを掲げる『Daddy Pak Training』に所属し、日本初の都市型障害物レースイベントを行う等、社会起業にも活動の幅を拡大。大前学長の「やりたいことは全部やれ!」という教えをまさに実践している。