今回は「世界の主要デジタル・サブスクリプション加入者数」を取り上げてご紹介いたします。
コロナ禍によって、デジタルメディア・コンテンツの利用が世界的に拡大していますが、その中でもサブスクリプションによる利用者が拡大しているようです。
国内でも、ネットフリックスやアマゾン・プライム・ビデオなどの動画配信サービスや、その中で人気となったドラマなどが話題となりました。こうした動きは、米国はもちろん、日本、中国など世界的に広まっているようです。
確かに、YouTubeやTikTokなどの無料動画サービスの利用も増えているとは思いますが、有料のデジタル・サブスクリプションサービスを利用することへの抵抗も少なくなり、普通に有料プランに加入し利用している人が増えているという報道や調査結果を見かけることも多くなりました。
それでは、数あるデジタル・サブスクリプションサービスの中でも、どのサービスの加入者が多いのでしょうか。1年前と比べてどの位伸びているのでしょうか。
また、動画、音楽、ニュース・出版分野がある中で、どの分野でどのサービスの加入者が多いのでしょうか。どの国の事業者によるサービスの加入者が多いのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。
国際雑誌連合(FIPP)が定期的にデジタル・サブスクリプション利用者数などをまとめて発表していますので、こちらの情報をもとに、各デジタル・サブスクリプションサービスの加入者数などの状況を見てみます。
まず動画配信デジタル・サブスクリプションの中で最も加入者数が多いのはNetflixで約2.04億人となっています。次いでAmazon Prime Video(1.5億人)、Tencent Video(1.2憶人)、iQIYI(1.19億人)、Disney+(約9500万人)と続きます。
音声(音楽)配信デジタル・サブスクリプションの中で最も加入者数が多いのは、Spotifyで約1.44億人となっています。次いでApple Music(約6800万人)、Amazon Prime Music(約5500万人)と続きます。
ニュース系のサブスクリプションは、動画・音声と比べて少なく、最も加入者が多いNew York Timesで約610万人となっています。
1年前と比べて大きく伸びたサービスを見ると、最も伸びたのはDisney+(2020年にスタートした新規サービス)で約9500万人増となっています。次いで、Amazon Prime Video(約7500万人増)、Netflix(約5170万人増)、Spotify(約4400万人増)、Tencent Video(約2600万人増)と続きます。
19年~20年の伸び率で見ると、Disney+、AppleTV+を除くと、Disney+ Hotstarが516.7%と最も高く、図表には表示されていませんが、ESPN+(475%)、Starz/StarzPlay/Pantaya(211.4%)と続きます。
こうしてみると、図を見て分かるように、動画、音声、ニュースコンテンツなどのコンテンツ分野でも動画配信サブスクリプションの加入者が多いことが分かります。動画に次いで音声(音楽)配信サブスクリプションの加入者が多く、ニュース系のサブスクリプションは、動画・音声と比べると少ないことが分かります。
また、米国のサービスが上位に数多くランク入りしていますが、中国系のサービスや、インド系のサービスが上位に食い込んでいる様子が分かります。中国やインドのような人口規模の大きい国のデジタル・サブスクリプションサービスが今後どのように広がるのか、米国発のグローバル規模のサービスがどのように加入者数を伸ばしていくのかが注目されます。特にDisneyは、Disney+、Hulu、ESPN+、Hotstar / Starといった動画配信サービスを傘下に取り込んでおり、こうした各ローカルサービスを統合していく動きが加速するのかもしれません。
こうした大きな流れに対して、日本の動画・音楽配信サブスクリプションサービス事業者がどう対応していくのか、コンテンツ製作事業者はどう対応していくのか考えておく必要がありそうです。
ですが、ユーザーとしては、複数のサービスに登録・支払いしないで済むように一つに統合してもらいたいところですね。
<出典>
Global Digital Subscription Snapshot 2020 Q4
Which Streaming Service Has the Most Subscriptions?(Visual Capitalist)