業界ウォッチ 2021年7月20日

【データから読み解く】世界の再生可能エネルギー発電電力量の推移について

今回は「世界の再生可能エネルギー発電電力量」を取り上げてご紹介いたします。

最近、「脱炭素」、「カーボンニュートラル」等に関する話題が毎日のように報じられています。世界各国で、脱炭素を巡る動きが活発化し、国際機関・国・政府だけでなく、産業・企業もこれらへの対応が求められる動きが強くなっています。
こうした中で、電力・エネルギー源として、従来のCO2を排出する化石燃料(石油・ガス・石炭など)から、再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、地熱等)にシフトする傾向が強まっています。

それでは、世界の電力発電量を電源別にみると、再生可能エネルギーはどの位の割合で推移しているのでしょうか。また、再生可能エネルギーの中でも、太陽光、風力等各種ありますが、どのエネルギー源からの発電が多いのでしょうか。また、どこの国・地域の再生可能エネルギーによる発電量が多いのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。

まず、世界の電源別発電電力量を見てみます。世界的に発電量全体は、2000年(15.6PWh)から増加トレンドでしたが、2020年は新型コロナの影響により、対前年比で落ち込んでいます。電源別で発電量のウェイトが高いのは、2020年ではトップが石炭(9.4PWh)で、次いでガス、水力、再生可能エネルギーと続きます。石油(0.76PWh)は、2000年時点からみてマイナストレンドとなっています。

次に、再生可能エネルギーの電源別内訳を見ると、2020年時点で最も発電量が多いのは風力(1591TWh)で、次いで太陽光(856TWh)、その他(700TWh)となっています。増加ペースで見ると、太陽光の伸びが大きく、2015~2020年で約3.3倍に拡大しています。

また、主な国・地域別の再生可能エネルギー発電量を見てみると、中国の発電量が急激に伸びていることが分かります。中国は2000年時点での発電量は3.1TWhでしたが、2008年には28.1TWhと日本(26.8TWh)を抜き、2016年に369.5TWhと米国(367.4TWh)を抜き、2020年には863.1TWhと欧州全体(921TWh)に迫っています。一方、日本の再生可能エネルギー発電量の伸びは、他の主要国・地域と比べても比較的緩やかになっていることが分かります。

こうしてみると、再生可能エネルギーは、風力、太陽光の発電量が大きく、国・地域で見ると欧州と中国の発電量が大きいことが分かります。中でも太陽光、中国の伸びが著しいことが分かります。

一方、日本では今後再生可能エネルギーをどの位伸ばすことができるのか、広い土地の必要な太陽光をどの位増やすことが出来るのか、風力発電をどの程度増やすことが可能なのか、その他のバイオマスや地熱等の発電をどこまで増やすことが出来るのか、実現可能性も含めて、よく検討する必要がありそうです。


とはいえ、世界的な2050年の脱炭素・カーボンニュートラルに向けての動きを見ると、今後も電力の再生可能エネルギーへシフトは継続するものと考えられます。世界的に見れば、今後も再生可能エネルギー周辺に事業機会がありそうだと考えられそうですね。

出典:BP “Statistical Review of World Energy”