執筆:谷口賢吾(BBT大学大学院 講師)
今週は「世界の空港ランキング」を取り上げてご紹介いたします。
先日、国際空港評議会(ACI、米ジョージア州アトランタ)が発表した世界の空港利用者数ランキングによると、世界の空港利用者数合計で88億人と対前年比6.4%増でした。空港別のランキングでは、アトランタ国際空港が21年連続の1位となりました。
空港利用者数は、その都市(国・地域)の経済の活発度を示すものといえます。それでは、どのような空港が上位にランクインしていて、どのような空港が伸びているのでしょうか。また貨物取扱量で見た場合、どのような空港が上位にランクインして、どのような空港が伸びているのでしょうか。実際に数字を見て確認したいと思います。
まず、空港利用者数上位空港を見てみます。1位はアトランタ(ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港)で、1億740万人(対前年比3.3%)で、次いで北京(北京首都国際空港)が1億100万人(同5.4%)、ドバイ(ドバイ国際)が8915万人(同1.0%)と続きます。東京(羽田空港)が8694万人(同4.4%)で5位にランクインしています。
空港利用客数の増加率が最も高かった空港は、インドのバンガロール空港で対前年比29.1%(利用者数3233万人)となっています。、次いでトルコのアンタルヤ空港で前年比22.1%(利用者数3195万人)、インドのハイデラバード国際空港(前年比21.9%、利用者数2090万人)、FIFAワールドカップが開催されたロシアのヴヌーコヴォ国際空港(前年比18.4%増、利用者数2175万人)と続きます。
次に、貨物取扱量上位空港を見てみます。1位は香港国際空港で512万トン(対前年比1.5%)、次いで米メンフィス国際空港の447万トン(同3.1%)、上海浦東国際空港377万トン(同-1.5%)と続きます。東京・成田空港が226万トン(同-3.2%)で9位にランクインしています。
貨物取扱量の増加率が最も高かった空港は、シカゴ・ロックフォード国際空港で対前年比56.6%増(取扱量31万トン)となっています。次いで、ケニアのナイロビ・ジョモ・ケニヤッタ国際空港(前年比25.2%、取扱量34万トン)、ベルギーのリエージュ空港(前年比21.6%、取扱量87万トン)と続きます。シカゴ・ロックフォード国際空港は、アマゾンが航空貨物施設の敷地面積を拡張するなどの影響により大きく伸びたようです。
このように見ると、世界的なハブ空港のほか、人口規模の大きい新興国の空港が上位にランクインしていることが分かります。また伸び率の高さは、経済成長率の高い新興国の空港のほか、ワールドカップ等のイベントや、貨物取扱の為の施設拡張を行った空港などが上位に入っていることが分かります。
日本の空港は、旅客数では羽田、貨物取扱高では成田が上位10位内にランクインしていますが、それ以外は上位20位圏外となっています。今後、東京オリンピックや大阪万博もあるので、関西空港や中部国際空港などが上位に食い込めるように活性化してほしいところですね。
執筆:谷口賢吾(たにぐち けんご)
ビジネス・ブレークスルー大学、同大学院 専任講師
地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方都市の産業振興政策策定に携わる。
1998年より(株)大前・アンド・アソシエーツに参画。
2002年より(株)ビジネス・ブレークスルー、執行役員。
BBT総合研究所の責任者兼チーフ・アナリスト、「向研会」事務局長を兼ねる。
2006年よりビジネス・ブレークスルー大学院大学講師を兼任。
同秋に独立、新規事業立ち上げ支援コンサルティング、リサーチ業務に従事。
<著書>
「企業における『成功する新規事業開発』育成マニュアル」共著(日本能率協会総合研究所)
「図解「21世紀型ビジネス」のすべてがわかる本」(PHP研究所)