編集部posts 2021年9月8日

【BBT Meet-upレポ】地域変革人材に必要な素養とは

BBT大学院の修了生・在校生向けイベント「BBT Meet-up」では地域活性を担う人材に求められるリーダーシップについて朝比奈教授に話を伺いました。
ご興味ある方はぜひ一読ください。

登壇者

登壇者:朝比奈一郎
BBT大学院教授、『社会変革型リーダー特論』を担当。青山社中株式会社の筆頭代表として各地の市の経済活性アドバイザーを豊富に経験。

リーダーシップは「始動力」


地域の変革人材についての考え方・育て方ということをお話ししたいと思います。

もともと私はリーダータイプではなく、短期的目標に引きずられるモラトリアム的人生を送ってきました。中学・高校・大学受験、就職したら課長・部長というように短期的な目標に向けて努力はするものの、究極的に何かをしたいというのはなかったわけです。

今の日本で問題なのが、こういうモラトリアム型が増えてきていることです。こういう人が増えると、都会でも地域でも活性化が難しくなります。

私はハーバード・ケネディースクールに留学させていただいたことで、リーダーというものについて学ぶことができました。ハーバードでリーダーシップは変革を意味します。変革できるかどうかがリーダーシップで、別の言葉で言えば「結果をどう出すか」です。そういう教育が日本では地域にも会社にもないため、モラトリアム的人生になりがちです。

では、リーダーシップとは何かというと、アメリカでは生まれつきの能力でも地位でもありません。例えば、キング牧師は課長や部長や全米黒人解放連盟会長などではなく、普通の牧師でした。しかし、公民権が正しく行使されていないのはおかしいという意識を持ち、変革に向けてチェンジメーカーになりました。そういう風に、地域でも問題意識を持って事に当たることが求められ、町役場の「四人組」みたいな人材が必要です。

私の場合は、30代で各省同期の仲間と「新しい霞ヶ関を創る若手の会」を作りました。日本全体がさまざまな問題を抱えている中で、霞が関を変革してよい政策作りを実現することが目的でした。

私自身、そこから究極の目標を作って生きられるようになり、30代半ばにして開眼したともいえます。そして、青山社中という会社を設立し現在に至っています。

さて、辞書では「しどうりょく」というと「指導力」と書くことが多いですが、私の定義ではリーダーシップというのは「始めて動く力」の始動力です。

真に地域が活性化されるためには、この始動ができるリーダーシップを持つ複数人が地域に存在することが重要です。

また、沼田市で私が行っている起業塾で、一番大事なのはビジネスプランを作ることです。群馬県の中小企業診断士協会と全面的に組み、グループごとに診断士がついて、私がリーダーシップの講義などをします。そして、半年くらいかけてビジネスプランを作り、実際に起業することを目標にしています。

こういう風に各地で始動者を作り、業を作り、3人でも5人でもいいから雇用を作るということが重要だと考えています。

生活にもっとも必要なのは、食い扶持を稼ぐということです。そのため、地域に食い扶持を作り、その食い扶持に向けて変革していく各地の人材が非常に大事になってきます。

今回ご参加いただいてる方は、地方創生に関心がある方が多いと聞いています。そういった方々の奮闘に期待しつつ、各地に置いて食い扶持をどう作っていくか、これを中心に考えていただければと強く感じている次第です。