業界ウォッチ 2024年9月10日

【データから読み解く】国内ポイント市場動向

今回は「国内ポイント市場動向」を取り上げてご紹介いたします。

近年、生活者がポイントを貯めたり、ポイントを活用したりする活動を「ポイ活(ポイント活動)」と称し、そのポイ活が普及定着しつつあります。

特にコロナ禍以降、日常生活の中で効率的にポイントを貯めて節約するという意識が一層高まり、消費者の間でポイ活が一種のライフスタイルとなりつつあります。その背景として、大手企業の共通ポイントサービスやスマホ決済アプリの普及により、ポイントの獲得・利用が以前よりも簡単かつ便利になったことが要因としてあげられます。さらに、ポイントを通じたキャッシュバックや割引だけでなく、地域通貨や電子マネーと連携した新しい形のポイ活も登場してします。

それでは、国内のポイントサービスの市場規模はどのくらいの規模で、どのように推移しているのでしょうか。実際に生活者が活用しているポイントサービスとして、どこのサービスが利用されているのでしょうか。また、生活者は貯めたポイントはどのような用途で活用しているのでしょうか。

実際に数字を見て確認したいと思います。
point service

まず、国内のポイントサービスの市場規模を見てみます。

矢野経済研究所(ポイント発行額ベース)によると、2022年度は2兆4816億円で、2023年度は2兆6569億円となっています。以降は、予測ベースで増加トレンドとなっており、2024年度が2兆7831億円で、2026年度が3兆0377億円と3兆円を超え、2028年度には3兆2838億円となっています。

次に、生活者が現在活用している主なポイントサービスを見てみます。

MMD研究所によると、現在活用している共通ポイントを聞いたところ(複数回答)、最も多かった共通ポイントは「楽天ポイント」で59.5%となっています。次いで多いのが「PayPayポイント」で41.0%となっています。以降「Vポイント」(40.3%)、「Pontaポイント」(40.2%)、dポイント(38.6%)、「WAON POINT」(26.2%)と続きます。なおVポイントは、SMBCグループの共通ポイントと、TSUTAYAをはじめとした15万店舗での買い物でたまる「Tポイント」が統合したポイントです。

ちなみに、この中で最も活用しているポイントを一つ(単数)上げてもらったところ、最も多かったのが「楽天ポイント」で33.7%となっています。次いで多いのが「PayPayポイント」で14.5%となっています。以降「dポイント」(14.2%)、「Pontaポイント」(8.2%)、「Vポイント」(6.6%)と続きます。

現在活用されているポイントとしては、「楽天ポイント」が圧倒的に多くなっていることがわかります。

次に、貯めたポイントの使い道を見てみます。GMOメディアの調査によると、「あなたは貯めたポイントをどのように使っていますか?」との質問への回答(複数回答)で最も多かったのは「ポイント支払い(充当)」で50.3%となっています。次いで多かったのは「電子マネー・ギフトと交換」で47.5%となっています。以降、「現金と交換」(44.8%)、「他のポイントと交換」(35.9%)、「ポイント投資」(11.4%)、「グッズ・商品と交換」(7.0%)と続きます。

こうしてみると、ポイントの利用は今後も着実に伸びていくことがわかります。その中でも、現在最も活用されているポイントが「楽天ポイント」で、ダントツに強く、次いで「PayPayポイント」が強いことがわかります。ポイントの使い道では、「ポイント支払い(充当)」や、「電子マネー・ギフトとの交換」、「現金との交換」が多くなっています。ここから、ポイントで支払える使い道や、ギフトなどの使い道があること、電子マネーや現金などの換金性が高いことが重要な点になっていることが分かります。

ポイ活自体は、今後も拡大傾向にあるため、ポイントサービス事業者としては、生活者によってより活用できる使い道を提示して広げることが大切になってきます。店舗などは、ポイントが今後も重要なマーケティング手段となっていくものと考えられそうです。

資料:
矢野経済研究所プレスリリース「ポイントサービス市場に関する調査を実施(2024年)」
MMD研究所プレスリリース「2024年7月ポイント経済圏のサービス利用に関する調査」
GMOメディアプレスリリース「「ポイ活」に関する調査を実施」