業界ウォッチ 2024年9月24日

【データから読み解く】国内eギフト・ソーシャルギフト市場動向

今回は「国内eギフト・ソーシャルギフト市場動向」を取り上げてご紹介いたします。

近年、デジタルギフト(eギフト・ソーシャルギフト)は、電子的な手段で贈り物やクーポンを送受信できるサービスとして注目を集めています。スマートフォンの普及やキャッシュレス決済の拡大により、その需要は急速に増加しています。

コロナ禍によって、接触を避けるコミュニケーションが減ったことも、eギフト・ソーシャルギフトの普及・市場拡大を後押しした要因の一つとなっているようです。

非接触型サービスへの需要が高まる中、eギフトは手軽さと利便性から多くの消費者に支持されているようです。

それでは、国内ギフト市場全体の規模はどのくらいの規模で、どのように推移しているのでしょうか。従来型のお中元・お歳暮といったギフトはどのように推移しているのでしょうか。また、eギフト・ソーシャルギフト市場はどのくらいの規模で、どのように推移しているのでしょうか。商品券・ギフト券も合わせた市場規模はどののくらいの規模で、どのように推移しているのでしょうか。eギフト・ソーシャルギフトを主に利用する世代はどの世代で、どのくらいの割合の人が利用しているのでしょうか。

実際に数字を見て確認したいと思います。
e-gift certificate

まず、国内のギフト市場規模の推移を見てみます。矢野経済研究所によると、2017年は10.4兆円で、2019年(10.7兆円)まで増加トレンドとなっていましたが、2020年には新型コロナの影響により9.9兆円と、10兆円を割り込む規模にまで落ち込んでいます。以降は再び増加トレンドとなり、翌2021年には10.1兆円と再び10兆円を超え、2023年には10.8兆円となり、2024年には11兆円に達するものと予想されています。このうち、お中元・お歳暮の市場規模を見ると、2017年は1.75兆円でしたが、以降は減少トレンドとなっており、2023年には1.52兆円となり、2024年には1.50兆円にまで落ち込むことが予想されています。

次に、商品券・ギフト券・eギフトの市場規模推移を見てみます。商品券・ギフト券は2017年は7457億円でしたが、2018年に7462億円と増加するものの以降は2022年の6608億円まで減少トレンドとなっています。以降は微増トレンドで2023年は6671億円、2025年には6766億円と予想されています。eギフト市場は、2017年は909億円でしたが、以降は急増トレンドとなっており、2020年には2075億円と2000億円を超え、2023年には3196億円、2025年には4057億円と4000億円を超えることが予想されています。両方合わせると、2017年は8366億円でしたが、以降増加トレンドで、2023年は9867億円、2024年には1兆円を超え、2025年は1兆823億円と予想されています。

次にeギフト・ソーシャルギフト利用者の年代を見てみます。ギフトモール・オン来ギフト総研の調査によると、「既に利用したことがある」との回答が最も多かったのは、20代の24.6%となっています。次いで多かったのは30代で20.4%となっています。以降、10代(18.0%)、40代(11.6%)、50代(6.8%)と続きます。

「サービスを知っている。いずれ利用したいと思う」、「サービスを知らない。いずれ利用したいと思う」を含めて「いずれ利用したいと思う」という利用意向のある割合を、「既に利用したことがある」に加えると、最も多かった世代は20代の68.2%となっており、次いで多かったのが10代の66.0%となっています。以降、30代(61.8%)、40代(53.2%)、50代(40.2%)と続きます。

こうしてみると、ギフト市場は、全体としては微増トレンドとなっていますが、お中元・お歳暮といった従来型のギフト市場が減少し、他方、商品券・eギフト市場規模が増加トレンドとなって、全体を押し上げているものと考えられます。

このうち、eギフト・ソーシャルギフトを利用している世代が、20代・30代が中心となっており、利用意向を見ると、20代・10代の利用意向が高くなっていることが分かります。今後、10代が成長してお金を使えるような年代になると、さらにeギフト・ソーシャルギフトを利用していくようになっていくことが予想されます。

今後のギフトの在り方も、デジタル化にシフトし、よりカジュアルに送り・送られるようなスタイルに変わって定着していきそうですね。

注:本稿ではeギフトとソーシャルギフトを同じものとして、eギフト・ソーシャルギフト市場と表現しています。

資料:
矢野経済研究所プレスリリース「ギフト市場に関する調査を実施(2023年)」

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