(↑写真左:石倉さん、右:BBT大学院事務局鎌原)
本記事では、BBT大学院主催イベント、「大企業の中で信頼を得るためには?実務で活きる経営者視点を得るための方法」のイベントレポートをお送りします。
ご登壇いただいたのは、大手日用品トイレタリー企業で社長室マネジャーとして中期経営計画策定やDX戦略策定に従事する石倉さん。
化学の研究員からキャリアをスタートした石倉さんは、社員数数万人規模の大企業でどのように信頼を得るべく貢献されてきたのでしょうか?お話をうかがいました。
編集:BBT大学院事務局
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石倉康寛さん プロフィール
大手日用品トイレタリー企業に新卒入社から15年間勤務。化学の研究員として
仕事をしながら2014年にBBT大学院を修了し、その後は研究戦略企画を経て、
現在は社長室に所属(マネジャー)。中期経営計画の策定や外部連携、DX戦略
策定などに従事。
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石倉と申します。元々は化学系の研究業務に従事していました。新卒で大手トイレタリー企業に入社し、和歌山にある素材開発研究所に配属となりまして、洗剤やシャンプーの原料について研究していました。
その後、栃木県にある研究所で勉強させていただき、1年後に和歌山に戻って、その頃からMOT(Management Of Technology)という戦略策定の業務に従事することになりました。
この頃から、実験ではなく研究の戦略立案業務に携わるようになりました。
2014年からは研究開発部門全体の戦略企画部、2017年には本社コーポレート戦略部、並行してDX戦略部署の立ち上げ、2020年からは社長室で中期経営計画の策定等に従事しています。
これまで、「実験をする研究者」から「戦略策定をする研究者」、そして「戦略を考える全社のスタッフ」へとキャリアが変遷していくなかで、BBT大学院に在籍していたのは、戦略策定に関わるまでの境目の時期でした。
そんななか、大前研一さんの著書「企業参謀」を読んだことが契機となりました。何度か読み返すなかで、「この頭の使い方は自分に近いな」「でもレベルが全然違う…」「もっとこのレベルに近づきたい」と考えるようになりました。
そんな大前さんが経営している経営大学院がある!と書籍の広告で知ったことが、BBT大学院との出会いでした。
ちょうどその頃、入社3年目頃から考えていたキャリアビジョンがありました。それが、「研究のこともよくわかる事業戦略家」として社会貢献する、というものです。
キャリアビジョンを実現するまでには壁がいくつかありました。化学実験をする研究員から戦略立案をする研究員になるまでの壁、本社で働く事業戦略家になるための壁…なんとかこれらの壁を乗り越える必要性に薄々気づいていました。
今日の参加者の皆様の中には、大企業にお勤めの方もいらっしゃるかもしれませんが、大企業では社内の理解を得るのが大変です。「戦略家になりたい。その為に異動をしたい。」と上長や人事面談などで話したところ、ことごとく同じようなことを言われ続けました。
若手では戦略立案していた人はいない、キャリアを十分積んでからが良いのでは?こういう異動で成功した人はいない…大げさではなく30~40回は言われ続けたと思います。こういった試行錯誤を3~4年繰り返しました。
今回のイベント登壇させていただくにあたり、最終的に上長や人事に伝わったのは、なんだったのか、改めて振り返ってみました。
一番伝わったのは、「これまでそういう異動がなかったのはよく分かった」「その上で最初のひとりになる絶好のチャンスなので挑戦させてほしい」という論理、メッセージでした。いわゆるファーストペンギンですね。
ただ、大切なのはこの試行錯誤の3~4年間にBBT大学院で学んで、準備をしていたことです。MBAを学び、必ず事業戦略家になるのだ、という覚悟が説得力につながったのではないか?と思います。
MBAは、純粋に必要な知識や考え方を身につけられる最短距離だと考えたので学びました。
ただそれだけではなく、自分のキャリアビジョンを目指す「覚悟」を会社に示す上で役立ったと思います。学費はすべて自費でしたし、公私ともにタイムマネジメントがハードな2年間でした。その大変さが、結果的には「覚悟」を示すことに繋がりました。
BBT大学院を選んだ理由のひとつは、大前先生から学びたい、吸収したいということです。そして場所、時間を選ばずに学べることも大きかったです。引っ越しもありましたし、国内外の出張が多かったので、ホテルや飛行機の中でも学べることは大きな魅力でした。
ちなみに、私の場合、全日制の大学院で学ぶことは選択肢にはありませんでした。MBAで学んだことを次の日の仕事で使ってみて、気づいたことを家に帰ってクラスメイトとまた議論をするサイクルが、実務に即した学びを得るには適していると感じていたからです。
ではそうして学んだことが実務にどう活かされているかお話します。
RTOCSで学んだことがすごく実務に活きている実感があります。「もし私が〇〇株式会社の社長だったら…」という高いレベルの思考が、実務でも本当に癖になっています。この思考が上長や経営幹部からの信頼につながっているのではないかと改めて感じます。
世に出ているビジネス書を読むと「1つ、あるいは2つ上のポジションの視点で考えよう」と書いてあることが多いかと思います。しかし、なかなか実行するのは簡単ではありません。
BBT大学院で毎週経営者の立場になって考えることを2年間繰り返したからこそ、やっと身についた思考だと思いました。ビジネス書で一行読んだら身につくものではなくて、癖になるまでやらないといけないのだなと今は感じます。
RTOCSで毎週、知っている会社・知らない会社、親しみのある業界・親しみのない業界について調査・分析、考察、提案を作るという能力は今の仕事に活きています。新規事業、M&Aなどいろんな話を振られたときに1週間あれば提案段階まで持っていけることは自信になっています。
その最たる例が、昨年一年間の取り組みです。
当社では社長が約8年ぶりに交代しましたが、それに際して新社長に声をかけてもらい、中期経営計画の策定に挑み、ほぼ1年間かけて取り組みました。まさにリアルなRTOCS、という感覚でした。
彼が経営戦略を立案するなかで、そのディスカッション相手として私は「もし自分が自社の社長だったらどうするか」というRTOCSで培った思考でいつも臨んでいました。
時価総額4兆円近くある会社において、今後5~10年どうしていくのかという経営戦略を、コロナ禍で先の見えないなか立てていく。その中に分析・考察・提案を織り交ぜていく。まさにBBT大学院で取り組んでいたRTOCSそのものだと思いましたし、学んだ2年間がなければ、この仕事で十分な成果を出せなかったと思います。
他にも、新しいプロジェクト立ち上げ時に「とりあえずあいつ入れておけば、1週間くらいで戦略の叩き台が出るだろう」と呼んで頂くことも最近出てきました。自身としても社内での様々な活動を把握できますし、次の戦略立案の精度を上げることも出来て、好循環が生まれていると感じています。
携わっている仕事の中には、外部パートナー様との協業プロジェクトもあるのですが、「協業先企業の〇〇様だったら…」という逆視点も、コラボレーションを進める上で大いに役立っています。
化学の研究員だったわたしが10年後の今、中期経営計画策定に従事していることはBBTでの学びがなければ絶対にあり得ませんでした。
BBT大学院からは、キャリアビジョンを叶えるための”大きな壁を乗り越える為の力を授かりました。その修業の2年間だったのだなと思います。
BBT大学院での学びは本当に大変だったのですが、30代の私にもまだこんなに自分の伸びしろがあるのか、と気付かされる日々でした、本気で取り組めば人生にインパクトが与えられる場です。
「迷った場合は、大変な方の道を選ぶ。」私が大切にしているポリシーです。結果、BBT大学院で学ぶことを選びました。そのことが今振り返っても正しい判断だったと思います。
BBT大学院での学びを検討中の皆さま、ぜひ今回の話が少しでもお役に立ったなら幸いです。ぜひご検討下さい。そしてやると決めたら、本気で取り組んでいただくことをおすすめします。