今回は「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」を取り上げてご紹介いたします。
先日(11月12日)、国立社会保障・人口問題研究所が、2050年までの世帯数の将来推計の結果を都道府県別で公表しました。同公表資料では、単身世帯の割合は、27都道府県で4割を超えるとの予測を示しています。また、65歳以上の高齢者の単身世帯は、32都道府県で2割を超える見通しとなっています。
単身世帯が増える、おひとり様社会、ソロ社会と指摘されるようになっていますが、都道府県別や、年代別(特に高齢者)でみると、その意味合いが変わってくるものと予想されます。また、時間的な変化によっても意味合いが変わってくるものと考えられます。
それでは、単身世帯数は年代別(特に高齢者)でみるとどのように変化すると予想されているのでしょうか。また、都道府県別にみた場合、単身世帯はどのような変化・特徴がみられるのでしょうか。高齢者の単身世帯の都道府県別の変化を見た場合、どのような変化・特徴がみられるのでしょうか。
実際に数字を見て確認したいと思います。
まず、年代別単身世帯数の推移を見てみます。単身世帯数全体でみると、2020年は2115万世帯でしたが、以降増加トレンドで2035年に2450万世帯とピークに達することが予想されています。以降は減少トレンドとなり、2050年には2330万世帯になるとよそうされています。このうち65歳以上の単身世帯数は、2020年は738万世帯でしたが、以降増加トレンドとなっており、2050年には1084万世帯となっています。75歳以上の単身世帯数は、2020年は417万世帯でしたが、以降増加トレンドで2050年は704万世帯となっています。85歳以上の単身世帯数は、2020年は147万世帯でしたが、以降微増トレンドとなり、2040年の289万世帯以降は、ほぼ横ばいとなり2050年は277万世帯となっています。
次に、都道府県別の単身世帯の割合の推移を見てみます。全国でみると、2020年の単身世帯の割合は38%でしたが、2050年には44.3%になることが予想されています。2050年で単身世帯の割合が最も高いのは東京都で54.1%となっています。次いで大阪府の47.4%となっており、以降、京都府(47.0%)、福岡県(46.4%)、北海道(45.7%)、神奈川県(45.6%)と続きます。同2050年で最も低いのは、山形県で34.5%となっています。以降、福井県(35.5%)、富山県(35.5%)、岐阜県(36.2%)、佐賀県(36.9%)と続きます。
次に、都道府県別の65歳以上の単身世帯の割合の推移を見てみます。全国でみると、2020年の65歳以上の単身世帯の割合は13.2%でしたが、2050年には20.6%になることが予想されています。2050年で65歳以上の単身世帯の割合が最も高いのは高知県で27.0%となっています。次いで大きいのが徳島県で25.3%となっています。以降、愛媛県(24.9%)、鹿児島県(24.8%)、青森県(24.6%)と続きます。同じく2050年で最も低いのは福井県で18.6%となっています。以降、東京都(18.7%)、山形県(19.0%)、愛知県(19.0%)、滋賀県(19.1%)と続きます。
こうしてみると、単身世帯数全体は2035年以降は減少トレンドになるものの、65歳以上の高齢者の単身世帯数は引き続き増加トレンドとなっていることが分かります。
都道府県別でみると、単身世帯の割合が高いのは、東京都、大阪府、京都府、福岡県などの大都市が上位に来ていることが分かります。ここから、若い世代の単身世帯数が多いことが予想されます。
一方、65歳以上の単身世帯の割合が高い都道府県は、高知県、徳島県、愛媛県、鹿児島県といった地方都市が上位に来ていることが分かります。一方、65歳以上の単身世帯の割合が低い都道府県に、東京都、愛知県、埼玉県といった大都市が入っています。ここから、若い世代の単身世帯が多い大都市は、高齢者の単身世帯の割合が低く出ていることが分かります。
単身世帯の増加から、おひとり様・ソロ社会といった社会動向が読み取れる一方、都道府県別、年代別に見ると、高齢者単身世帯の増加が著しい地方と、若い世代の単身世帯が多い大都市とでは意味合いが大きく異なると思われます。消費文脈では、単身世帯向けにどのような商品・サービスを提供するべきか、といった観点でとらえる必要があります。社会問題としては、将来増加するの高齢単身者に関する社会課題にどう対応していくべきか、行政だけでなく、民間も含めて備えておく必要性が高まっていると考えられます。
資料:
国立社会保障・人口問題研究所
『日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』(令和6(2024)年推計)
『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(令和6(2024)年推計)