今回は「Twitterの業績推移」を取り上げてご紹介いたします。
米Twitterを買収した米テスラのCEOイーロン・マスク氏が、Twitterの7500人近くいた従業員社員の半数にあたる約3700人を解雇したことで大きな話題となりました。更に残った従業員に長時間の激務に耐えるか、退職するかの選択を求めたことで、大きなニュースとなっています。
また、「永久凍結」されていたトランプ前米大統領のツイッターアカウントを復活させるなどでも話題を集めています。
このようにイーロン・マスク氏によるTwitterの改革が大きな注目を集めています。サーバー空間上の言論がどうなのか、Twitterをどのような会社にしていくのか、様々な報道・解説がなされていますが、実際の業績はどうなっているのでしょうか。Twitterの売上高や、営業利益などの業績はどのように推移しているのでしょうか。また、従業員数はどのように推移してきたのでしょうか。四半期ベースでの業績で、直近の動向はどのようになっているのでしょうか。
実際に数字を見て確認したいと思います。
まず、売上高の推移をみてみます。2010年は2800万ドルでしたが、以降増加トレンドで、2020年に37億ドルとなり、2021年には50億ドルと前年とくらべて大きな伸びを示しました。米国内での売り上げは、2010年以降増加トレンドで、2015年から18年頃で一度横ばい傾向となりますが、以降再び増加トレンドに転じます。海外売上高も2010年以降増加トレンドとなり、直近の海外売上比率は44%に達しています。
従業員数の推移をみると、把握できる数字では、2013年の約2700人から増加傾向で2015年に約3900人となりますが、そこから減少に転じ、2017年に約3400人となります。以降は増加トレンドが加速し、2020年には5500人、2021年には7500人と急増しています。
次に営業利益の推移を見てみます。2010年は-6700万ドルで、赤字状態で横ばいが続きましたが、2013年に-6.5億ドルと大幅に赤字が増加します。2017年まで赤字状態が続きます。2018年に4.24億ドルと黒字化し、翌2019年も3.9億ドルと黒字となりますが、2020年以降再び赤字に転じ、2021年は-4.1億ドルの赤字となっています。米国内・海外別の営業利益の推移を見てみると、年ごとに金額の大きさの違いはあるものの、概ね赤字・黒字傾向が同じように推移しています。
さらに、直近の傾向を見るために、四半期ベースで業績の推移を見てみます。売上高は、概ね増加トレンドなっていますが、2020年6月期以降急増傾向に転じています。2021年12月期に15.7億ドルでピークに達した以降は減少に転じています。営業利益を見ると、2017年6月期まで赤字が続いていましたが、2017年9月期行く黒字化しています。2020年に入り同3月期、6月期で赤字となりますが、以降は黒字で推移するものの、2022年3月期以降は再び赤字に転じます。しかも、赤字傾向が加速していることが分かります。
こうしてみると、Twitterは売上が伸びていたため、従業員も大幅に増やしてきていることが分かります。しかし、営業利益ベースで見ると、従業員を大幅に増やした分マイナス幅が大きくなっていることが分かります。イーロン・マスク氏がTwitterを買収する直前の業績を見ると、売上が落込み、営業利益の赤字幅が拡大しつつあることも見て取れます。
こうした、業績数字の傾向を見ても、従業員解雇などのリストラに踏み切ること自体は、必要な改革であるように思われます。マスク氏が、どの部門を中心に解雇したのか、様々なメディアで報じられ、その後マスク氏が何に力点を置き、どのように改革するのかが注目を集めていますが、その成果が業績・結果として明らかになるのは、もう少し時間が経ってからとなるでしょう。
マスク氏がTwitter買収後非公開化したことで、今後業績数字を公表するかどうかは定かではありませんが、改革の成果・結果がどのようになるのか気になるところです。Web3系の情報は、多くがTwitterで発信されていることが増えているため、そうしたメディアとしての路線を築くのか、その他の新たなビジネスモデルを構築するのか、今後も注目していく必要がありそうです。