データ転送・連携サービスで世界No.1のシェアを目指す企業から誕生した「HULFT, Inc.」President/COOの丸山さん。
同社は日本のセゾン情報システムズのグループ子会社として、2016年4月にシリコンバレーに設立。丸山さんは北米市場におけるデータ転送・連携サービス「HULFTソリューション」のビジネス展開・拡大のために、シリコンバレーに乗り込みました。現地は、異文化、異業種の人たちが集まるまさに多様性に富んだ海外環境。そのような中で実践されている「ダイバーシティ・コミュニケーション」について、お話を伺いました。

修了生プロフィール

丸山 昌宏 さん
HULFT, Inc. President / COO
幼少の頃は両親の仕事の関係で海外で過ごす。慶應義塾大学卒業後、大手通信会社に就職。その後、大手ITセキュリティー会社に転職。多国籍企業でグローバル向け新規製品を推進するビジネスデベロップメントとマーケティングチームのマネジメントを行う。それらのマネジャーとして活躍するも、自分の能力をさらに伸ばしたいとの想いで、BBT大学院(MBAプログラム)に入学。同大学院卒業後、スキル、メンタル面ともに機が熟したところを見計らい、かねてからの夢であった海外で新規ビジネスをする、という想いを叶えるべく現職へと転職。シリコンバーで現地法人のPresident/COOとして、自社製品の世界シェアNo.1を目指し奮闘中。

家族構成は妻と息子、一家でシリコンバレーに移住。家族をこよなく愛する丸山さんは大の旅行好き。日本にいる時から世界各国を家族で旅行されています。息子さんには、小さい時から世界を見てほしいとの考えで、様々な国の人たちとコミュニケーションをさせることを心がけていたそうです。また、人が大好きな丸山さんは、強面な(?)見た目と違い、誰ともでフランクに話ができ、多くの友人知人がいます。旅行に限らず、BBQ、キャンプ、パーティーイベントを開催するなど、丸山さんはいつも多くの人たちに囲まれています。

事前準備の精度が議論の成果を左右する

目的達成の手段を高い視点で広げて考える

異文化、異業種など前提が異なる人たちとの議論において、まず始めに陥りやすい問題は「目的」と「手段」が混同してしまうことです。なぜなら、皆がそれぞれの前提で物事を発想するからです。手段が目的になってしまうと各論に集中しがちになり、よいソリューションは生まれにくくなります。基本的なことですが、議論の目的を徹底して周知、再確認させることが大切です。できれば自ら議論のファシリテーター役をかってでるとよいと思います。

そこでこのCaseでは、自分が議論のファシリテーターになる場合についての効果的な考え方をお伝えします。


日本人は、議論の場では自分の意見を主張せず受け身であると揶揄されることがありますが、それは単純に準備不足による場合があります。一般的にグローバルな環境でビジネスをしている人は、日本国内でのみビジネスをしている人と比べて、自分の意見を明確に主張しますし弁も立ちます。そのキャッチアップには事前準備が重要なのです。

そこで、私はまず議論の「目的(ゴール)」に関するテーマをなるべく多く洗い出してみます。目的を達成するための手段は一つではなく多数存在しますので、部分的な視点ではなくバリューチェーンやロジックツリーを活用して思考の幅を広げ、多方向かつ高い視点で考えます。

次に洗い出したテーマごとに考えられる内容を手書きで全部書き出します。手書きにする理由は、思い浮かんだと同時に書き出すことができるからです。PPT(パワーポイント)を使って図式化したり、きれいに書こうとすると、その作業に気を取られてアイデアが飛んでしまうことがありますし、スピードも落ちます。

以下は、あるプロジェクトで私が自作したフレームワーク(マトリクス)です。シンプルなものですが、ここでは検討範囲を設定してから、各テーマの項目に沿って、それぞれ思いつくままに書き出します。手書きのシートは時に数十枚になることもあります。そのプロジェクトの目的に影響のあるテーマを、マトリクスにしてみることから始めてみると良いと思います。

新製品リリース・プロジェクトの議論事例に当てはめて考える

以下の図は、自作のフレームワークを使って、実際の新規商品のリリースプランを議論前にまとめたものです。このフレームワークに記載している内容は、手書きで作った資料から要約したキーワードです。ちなみに日本語で書いていますが、実際は全部英語です。

ここで後々重要になってくるのが、各テーマの定義です。例えば「マーケティング」という言葉で、「プロモーション」をイメージする人もいれば、「プロダクト開発」をイメージする人もいます。議論の際にはこの言葉の定義についても、コンセンサスを取っておいた方がいいと思います。この定義が曖昧だと、後々”そのつもりで言ったわけではない”などと振り出しに戻されることもあります。実際私も何度も痛い目にあいました。

このように議論の事前準備として、「目的の明確化」「検討範囲(各テーマ)の設定」「自分なりの見解」を用意しておきます。これらはミーティング参加予定者に事前シェアはしません。あくまでも自分の中での準備、理論武装をしている状態です。これをベースにどうやって議論を進めていくか次のPoint2で解説します!

ミーティングにおけるファシリテートの務め方

多種多様な意見を吸い上げる

チームメンバーとの議論、そしてクライアントへの提案など、コミュニケーションの取り方によって成果が変わってきます。これは私が現地で強く感じたことです。人はみなロジカルではありませんので、思い付きで発言していることも少なくはありません。

ここでは、どうやって相手と議論するかについてお伝えしてきます。まずは改めて議論の目的を明確に定めた上で、参加者に考えてもらうことから始めます。そこでCase1で準備したフレームワークのみをホワイトボードに書き、参加者に意見を求めながら、各テーマを埋めていきます。この時、私は自らの考えは言及せずに、ファシリテートに徹します。ここで重要なことは議論する参加者に意見を出してもらうことです。このプロセスを徹底することで、異なる立場であっても参加者全員が自由に発言することができます。

ある程度意見が出揃った段階で不足があれば、ここで始めて自分のアイデアを述べます。決して相手の意見を否定せず、様々な意見を聞き出し、すべて書き出す。これが効果的なブレインストーミング(ブレスト)です。結果的に自分が事前に用意していた内容に参加者の意見がアドオンされた形になります。その後、各要素同士をグルーピングしたり、優先順位付けをしたりしながら議論していきます。それが以下のような図になります。ここまでくれば一旦議論は終了です。


実際の議論の様子

新製品リリース・プロジェクトの議論の事例に当てはめる

ここからは、またファシリテーター1人の仕事になります。参加者全員の総意でまとめたものを、再び整理・統合していきます。議論された中で重要な要素 をピックアップし、再度バリューチェーンにそって並べ替え、下記のようなフレームワーク を作ります。このフレームは案件ごとに変わりますので、みなさんのプロジェクトに 合うようにカスタマイズしてください。


これをベースに関係各位の確認を取りながら全員が納得するまで、何度も議論を重ねます。ただ、事前に同意した意見をまとめる形なので、おそらく大きな問題もなくパスすると思います。議論の場で「言った、言わない」は不毛な水掛け論になります。そのため、このような資料や議論のプロセスそのものがエビンデスとなり、結果的に参加者全員が納得した結論に落ち着きます。よってコミュニケーションもスムーズに行く場合が多いのです。

目的にもよりますが、プロジェクトで重要なのは初動です。プロジェクトが進む前からボタンがかけ違っていては大きな成果は出ません。まずはコアな部分を関係者と共有することが大切です。 そして、全員の知恵を集約して進めることで、全員が納得したよりよいソリューションが生まれると思います。

シリコンバレーの仲間たち

最後に、海外でのコミュニケーションにおいて、絶対に避けて通れないことは信頼関係の構築です。杓子定規に行おうとしても反発を招くこともあります。議論での雰囲気作りや日々信頼関係を作る努力も欠かせない要素だと思います。

Interview1:学びを振り返って
――実践の過程で、私の中で劇的な変化が起こった

現地企業のPresident/COOとしてやり通す自信がありました

私がBBT大学院を卒業するころ、海外でチャレンジできる環境を探していました。そこで、ちょうどその時期にセゾン情報システムズがシリコンバレーで新会社の立ち上げメンバーを募集しており、早速エントリーしたのです。リクルーティングの過程で当時の面接官であり後に上司となる現セゾン情報システムズ代表取締役社長の内田和弘と出会い、当人から「立ち上げメンバーとして現地に行ってくれないか」とオファーをもらったときは、絶好のチャンスだと思いました。

グローバル企業である前職において新規事業開発に携わっており、そしてBBT大学院で2年間かけて実践的なトレーニングを積んできましたので、責務を担うできる自信はありました。そもそもBBT大学院での学びがなければオファーもされなかったと思いますし、チャレンジしようとも思わなかったかもしれません(笑)。

BBT大学院で学ぶ前は、自分の考えをベースに体当たりで試行錯誤しながらやっていました。何人もの部下がいましたが、マネジメント上、抜け漏れが生じたり的確な指示が出せなかったり… また徹夜の日々が続くことも珍しくなく、部下には相当迷惑をかけていました。ひたすら時間ばかり使い、生産性を上げられない自分をどうにかしなくてはと考えた結果、私に足りないものは大きく3つだとわかったのです。「全体俯瞰の視点」、「論理的思考」、「フレームワーク・スキル」です。

これらを補完するために、結果として私が選んだのがBBT大学院でした。理論のアカデミックな学びよりは、今この現場、そしてこの環境で結果を出すための方法を学びたかったのです。結論から言うと、私が足りないものはすべてこの大学院から学べました。

学位授与式(修了式)、大前研一学長と一緒に

例えば企画を一つ進めるにも、十分な情報収集や分析、解決策の提示を以前よりも抜けもれなく考え、実行することができるようになったと思います。また論理的な展開ができるようになったことで、部下とのコミュニケーションも円滑になりました。具体的な指示が出せるようになるに連れ、部下から上がってくるデータや資料の精度も増してきました。

そもそも昔の自分は狭い視野に捕らわれており、社会通念や常識といったものに疑問を持つことさえありませんでした。しかし、世の中には常にビジネスチャンスがあり、それをどう掴むかは自分の考え方次第だということをBBT大学院で痛感させられましたね。世の中で常識とされているものにこそ疑問を抱き、“本質はなんぞや”と考え抜き、解決策を見出していく「考える癖」が身についたことで、私は劇的に変化したと感じています。

この「考える癖」は、私が今いる環境では必須事項です。問題に直面すれば、それに対して一つひとつ個別に解を出していかなければなりません。これらを無手勝流に行っていては時間がいくらあっても足りません。しかし今は、客観的かつ全体俯瞰で物事を考えるようになり、ビジネスプランの策定、そしてプランの実行をより効率的に行えるようになったと思っています。

人そのものをしっかり見ることでダイバーシティは推進される

ここまでBBT大学院で学べたことをお伝えしましたが、各科目のすべてが私にとって実践でした。考え方をすぐに仕事に活用でき、自分なりの試行錯誤を経て工夫を加えることで、得た知見はさらに洗練されていったことを覚えています。特に、これだけ私が劇的に変われたのは一緒に学ぶ仲間の存在が大きかったです。

オンラインMBAということもあり、同期にはラオスや中国、ドイツなどに赴任しているクラスメイトがいました。そんな海外の仲間たちと各国の個別事情を含めた形でディスカッションができたことは、非常に有意義でした。もちろん日本国内でも様々な業種や立場の仲間がいましたが、いずれにせよ価値観や立場の違いがある中でのコミュニケーションは、みんなが納得できる「論理的な展開」こそ重要です。

よって各論でどれが正しく、どれが間違いということではなく、そもそも目的は何か?全体最適されているか?といった視点をもつ必要があります。それらを踏まえた上で、自分だったらどうするか?各々が独自のソリューションを見つけ出していくのが面白かったですね。

また入学当初は自分だけの価値観をベースに議論展開していた人たちも、ダイバーシティに富んだ環境でディスカッションを重ねることによって、徐々に建設性や受容性が増していく過程を目の当たりにできました。私自身たいへんな気づきがありましたね。この変化や在り方を、企業や社会においても推進できれば良いと思っています。それにあたり、たとえば「日本人だから」「アメリカ人だから」と括るよりは、「その人そのもの」をしっかり見ることが大事なんだと考えます。

チームメンバーとの懇親

迷ったら、まずはチャレンジを

私の当面の目標は、北米市場拡大のための戦略を策定することです。そのために北米市場で当社のプレゼンスを上げ、お客様に当社の製品の付加価値を理解してもらうことが必要です。現在、「HULFT, Inc.」の製品は、世界2位にまでシェアを広げていますが、内訳は日本やアジア市場がほとんどです。1位を取るためには、どうしても北米市場を開拓しなければなれません。

IT大国である北米市場の中で、ブランドのない日本のIT企業が戦っていくのは、並大抵の戦略では太刀打ち出来ないと思っています。IT分野において日本の製品やサービスが世界トップシェアを取った事例は、私の知る限りありません。成功事例がない、前例がない中でのチャレンジをしているのです。ITといえば北米という既成概念を壊し、日本企業初の偉業を成し遂げられたらと思っています。

私は何事もチャレンジが大切だと思っています。常に課題にぶつかってはそれを乗り越えていく力が、仕事や学び、プライベートでも共通して必要です。そのため迷ったら、立ち止まらずにチャレンジするという選択を取ることを心がけています。一歩踏み出せば課題は明確になり、解決に向けてかえって頭はさえてきます。そして気づくと結果はついてくるようになりました。

もちろん不安や恐怖はありますよ。しかしチャレンジせずに現状維持や無難な選択をしていても停滞はおろか衰退するだけだと考えます。人生は長くも短いです。どうせならチャレンジを続ける生き方を私は選択したいです。

Interview2:周囲の評価
――学びを実務に活かしているMBAホルダーを見て


内田 和弘さん / 株式会社セゾン情報システムズ 代表取締役社長
HULFT事業部部長として北米進出計画を手がける中で、丸山さんを直接採用したご本人。現在は代表取締役社長として、新たな立場でHULFT, Inc.をスーパーバイズされています。

彼なら必ずやれると確信しています

当社では、HULFT事業のグローバル化にあたり、海外でビジネスデベロップメントができる人材を探していました。 彼と初めて会ったのはその当社の採用面接の時でした。私が彼を選んだ理由の一つは、幼少の頃から創業経営者であった祖父に強い興味を持っていたことです。何もないところからビジネスデベロップメントを行うにあたり、創業精神を肌で感じ理解しているかは重要なことです。加えて、知らない土地で仕事をするにはストレス耐性もとても重要になります。どのような状況においても物怖じせず、色々なものを許容できる包容力、懐の深さを感じたことが二つ目です。

おそらく、採用条件は当社が一番悪かったと思いますが、金銭面やポジションは後からついてくるということを理解していたのでしょうね。 “一緒に世界一になりましょう”という我々の思いに対し、彼は入社を決断してくれたのだと思います。後からわかったことですが、本気ならば日本にある自宅を売るのだろうなと思っていましたが、案の定、彼は売却していました。改めてその覚悟を目の当たりにし、海外に送り出した今、彼への期待は確信に変わっています。

正直、MBAに対して私は肯定的な方ではない、しかし…

MBAを取得したからといって誰もが出来る任務ではないと思っています。正直、MBAに対して私は肯定的な方ではないし、どう使うかはその人次第だと思っています。私自身、業務知識や理論は実体験を通じ必要に応じて学び、身につけてきました。特に私は多くの事業の立ち上げに関わる機会に恵まれ、そのために読みあさったビジネス書は数知れません。多くの諸先輩方々に教えを請うてきましたが、実践体験に勝る学びはないと確信しています。よって、若くして経営に携わることはとても良いことだと思っています。

しかし、知識やスキルを持っていないと、結果を残すチャンスを逃すこともあります。ビジネスに関しても学びに関しても、私の時代と今の時代はスピードが違います。eラーニングを始めとした新たな学習手法、ソーシャルメディアの活用、ICT、IoT、コンテンツの量も、私の時代とは比較になりません。よって誰もが学びやすい環境になったことは間違いありません。若いときから多くの引き出しを持ち、その時のために備えることも大切だと思います。そういう意味でも、彼はすでに多くの引き出しを持っています。この先、その知識が実践を通じてさらに生きてくる時が必ず来ると思います。

若い人たちにはどんどん挑戦してもらいたい

彼は正直まだ若い。若いからこその失敗もあるだろうし、ロジックだけで通用しないこともあるでしょう。問題に直面するたび、その事実を素直に、そして謙虚に受け止め、どこまで丁寧に一つずつ解決していけるか。そしてそこからどう乗り越えていくかを知識だけではなく、実践しながら学んでいってもらいたいと思います。そんな彼の「生き方」をみて、彼に続いていく若者たちが出てきて欲しいと思っています。

Mr. Dave Corbin / CEO, HULFT, Inc.
現地法人を丸山さんとともに立ち上げた経営者 。様々な困難を二人で乗り越えてきた。

彼の強いリーダーシップと実行力がここシリコンバレーに強固な基盤を築いた

HULFT, Inc.のCEOとして丸山さんと一緒に働きながら感じたことは、彼はチームにとって手本となる強いリーダーシップを発揮するだけでなく、実行力を兼ね備えた素晴らしいリーダーであることです。

彼の功績として、ここシリコンバレーに初の現地法人となる、まさに基盤を築き上げることに成功したことが挙げられます。それは、HULFT, Inc.にとっての第一歩です。米国でプレゼンスのない中、何もないところから会社を立ち上げ運営していくことはそう簡単なことではありません。しかしながら、彼は設立するに伴う法務、財務、人事に関連する外部委託業者の選定及び契約を着実に推進し、また、立ち上げのコアメンバー採用も行うことで、現在9名のチームにまでなっています。

彼の強み、それは「経験」「許容力」そして「提案力」

彼の素晴らしいところは、法務、財務、人事、業務推進といった会社運営の基礎知識はもちろん、シンプルな業務から複雑な経営的決断に至るまで様々な分野の仕事をやりこなせる高いケイパビリティです。

また、豊富なビジネスデベロップメントの経験をたよりに、米国での顧客獲得の推進も着実に行ってくれています。クライアントとのコミュニケーションにおいて、クライアントが求めているものを的確に理解し、最適なソリューションを提供していく力があるのです。

MBAの学びを通じて、市場開拓、マーケティング、製品企画開発、財務、法務、人事など、ビジネスを成長させるためのベースを学んだことでしょう。そんな彼のケイパビリティは会社にとってのかけがえのない資産です。

チームの手本となってHULFT, Inc.を更にリードしてもらいたい

彼は仕事に熱心で、リーダーシップと実行力を兼ね備えています。彼には、今後もセールス・マーケティング、コンサルティングサービス、サポートサービスを通じて、またチームの手本となって、HULFT, Inc.にさらなる貢献をしてくれることを期待しています。そして、その結果こそが、彼自身の成長とプロフェッショナルスキルの向上につながることと思っています。

丸山 奈緒子さん /丸山 昌宏さんの奥様
夫である昌宏さんがBBT大学院在学中に、家族を献身的に支えてきました。在学中の苦労やその先で得たものをご紹介いただきます。

卒業まで2年間、一緒に頑張ってほしい

それが主人の切羽詰まった言葉でした。 そばで見ていてBBT大学院は正直、大変だと思います。主人は仕事自体が忙しく責任感も強いので、仕事と勉強の両立にもがいていました。週末は、一日中部屋にこもったまま出てこない主人… 息子は、目の前に居るのに頼れない父親に対してもどかしさを感じていました。息子も私も気を遣っており、父親と子どもの姿が多い週末の公園で、パパの代わりにキャッチボールをしたりと、息子に寂しい思いをさせていました。

前を向いて努力し続ける父の背中を見ながら息子も成長している

一方で家族にとって良い側面もありました。朝早く起きて机に向かう主人を見ながら、息子もいつしか早起きして隣でドリルを毎日するようになりました。それが今でも習慣になっています。また、いつも「かまってちゃん」だった息子が自分一人で好きなことを見つけ、自分の時間を楽しむことができるようになったことも、たしかな成長につながっていると思っています。

主人が大きく変わったこと

以前、「今が楽しめない、頭から仕事のことが離れない」と主人はよく言っていました。オン/オフの切り替えが出来なかったので、仕事が常に頭から離れないようでした。BBT大学院在学中は、相当量の情報を短い時間でしっかり考え判断しなくてはいけない状況だったと聞いています。そのお陰だと思いますが、否応なしにも効率・要領が良くなったと思います。今では、オン/オフの切り替えもうまくなり、家族と過ごす時間は他のことを忘れて思いっきり楽しむことが出来ているようです。

また、子どもへの教育スタイルも変わりました。今までは上から「ああしなさい」「こうしなさい」「これはこうなんだ」というティーチングが多かったです。それがBBT大学院で学び始めてからは、質問を投げかけ何がわかっていないのかを一緒に考え、どう解決したらよいか?と問いかけるコーチングスタイルに変わりました。「何でできないんだ」じゃなくて、「どう思う?どうしたらできるかな?」と、相手に合わせて答えを導かせる。すると、寄り添う父親を子供も慕うようになり、親子関係も良くなりました。

また、「問題解決思考」のトレーニングのせいでしょうか、家族の趣味嗜好など様々な分野に興味を持ってくれるようになり、家庭内で会話がはずむようになりました。今まで主人は、自分の仕事や趣味に関係すること以外は興味がなく、子育てや教育について話をしても「わかんない、どうだろねぇ…」と流されていましたが… 学びを通じて何が問題でどうやって解決したらよいか、話をしっかり聞いてくれるようになりました。おそらく、自分の専門分野でなくても、多角的に物事を見られるようになり、興味が広がり、そして内容が変わっても様々な分野で話が出来るようになったように感じます。

主人はこんなことを言っていました。「考えることに徹すると、どんなインプットも様々な機会でアウトプットできる。プライベートから仕事のヒントを得て、仕事でやっていることがプライベートでも使えることがある。」

主人はまるでTVアニメのスポンジ・ボブのようです

少なくても私にはそう見えます。ポジティブで人を寄せ付ける力があり仕事熱心なところが、スポンジ・ボブのキャラクターにそっくりです。熱心がゆえにぶつかることもありますが、相手と意見や環境が違ってもゴールが一緒であれば、それに向けてどうやって一緒に協力し合えるかアジャストしていくタイプです。困難な環境に直面しても、決してひるまず、どうやって乗り越えられるかを一生懸命考え、自分自身でどんどん成長していく。文字通りスポンジのような人物です。

そんな主人がBBTのMBAを選んだことで、新たな人生を切り開いてくれたのだと思います。そのおかげで今の生活、今の家族があります。人生は一度きりですし、その人生で後悔はしてもらいたくないので、できるだけその環境を整えてあげたいと思っています。

私は主人のやりたいことを応援し続けたいと思っています。そして、もし主人が道を外しそうになったり、立ち止まったりするようなことがあれば、全力で向き合い、一緒に解決していきたいです。


データ転送・連携サービスで世界No.1のシェアを目指す企業から誕生した「HULFT, Inc.」President/COOの丸山さん。
同社は日本のセゾン情報システムズのグループ子会社として、2016年4月にシリコンバレーに設立。丸山さんは北米市場におけるデータ転送・連携サービス「HULFTソリューション」のビジネス展開・拡大のために、シリコンバレーに乗り込みました。現地は、異文化、異業種の人たちが集まるまさに多様性に富んだ海外環境。そのような中で実践されている「ダイバーシティ・コミュニケーション」について、お話を伺いました。

修了生プロフィール

丸山 昌宏 さん
HULFT, Inc. President / COO
幼少の頃は両親の仕事の関係で海外で過ごす。慶應義塾大学卒業後、大手通信会社に就職。その後、大手ITセキュリティー会社に転職。多国籍企業でグローバル向け新規製品を推進するビジネスデベロップメントとマーケティングチームのマネジメントを行う。それらのマネジャーとして活躍するも、自分の能力をさらに伸ばしたいとの想いで、BBT大学院(MBAプログラム)に入学。同大学院卒業後、スキル、メンタル面ともに機が熟したところを見計らい、かねてからの夢であった海外で新規ビジネスをする、という想いを叶えるべく現職へと転職。シリコンバーで現地法人のPresident/COOとして、自社製品の世界シェアNo.1を目指し奮闘中。

家族構成は妻と息子、一家でシリコンバレーに移住。家族をこよなく愛する丸山さんは大の旅行好き。日本にいる時から世界各国を家族で旅行されています。息子さんには、小さい時から世界を見てほしいとの考えで、様々な国の人たちとコミュニケーションをさせることを心がけていたそうです。また、人が大好きな丸山さんは、強面な(?)見た目と違い、誰ともでフランクに話ができ、多くの友人知人がいます。旅行に限らず、BBQ、キャンプ、パーティーイベントを開催するなど、丸山さんはいつも多くの人たちに囲まれています。

事前準備の精度が議論の成果を左右する

目的達成の手段を高い視点で広げて考える

異文化、異業種など前提が異なる人たちとの議論において、まず始めに陥りやすい問題は「目的」と「手段」が混同してしまうことです。なぜなら、皆がそれぞれの前提で物事を発想するからです。手段が目的になってしまうと各論に集中しがちになり、よいソリューションは生まれにくくなります。基本的なことですが、議論の目的を徹底して周知、再確認させることが大切です。できれば自ら議論のファシリテーター役をかってでるとよいと思います。

そこでこのCaseでは、自分が議論のファシリテーターになる場合についての効果的な考え方をお伝えします。


日本人は、議論の場では自分の意見を主張せず受け身であると揶揄されることがありますが、それは単純に準備不足による場合があります。一般的にグローバルな環境でビジネスをしている人は、日本国内でのみビジネスをしている人と比べて、自分の意見を明確に主張しますし弁も立ちます。そのキャッチアップには事前準備が重要なのです。

そこで、私はまず議論の「目的(ゴール)」に関するテーマをなるべく多く洗い出してみます。目的を達成するための手段は一つではなく多数存在しますので、部分的な視点ではなくバリューチェーンやロジックツリーを活用して思考の幅を広げ、多方向かつ高い視点で考えます。

次に洗い出したテーマごとに考えられる内容を手書きで全部書き出します。手書きにする理由は、思い浮かんだと同時に書き出すことができるからです。PPT(パワーポイント)を使って図式化したり、きれいに書こうとすると、その作業に気を取られてアイデアが飛んでしまうことがありますし、スピードも落ちます。

以下は、あるプロジェクトで私が自作したフレームワーク(マトリクス)です。シンプルなものですが、ここでは検討範囲を設定してから、各テーマの項目に沿って、それぞれ思いつくままに書き出します。手書きのシートは時に数十枚になることもあります。そのプロジェクトの目的に影響のあるテーマを、マトリクスにしてみることから始めてみると良いと思います。

新製品リリース・プロジェクトの議論事例に当てはめて考える

以下の図は、自作のフレームワークを使って、実際の新規商品のリリースプランを議論前にまとめたものです。このフレームワークに記載している内容は、手書きで作った資料から要約したキーワードです。ちなみに日本語で書いていますが、実際は全部英語です。

ここで後々重要になってくるのが、各テーマの定義です。例えば「マーケティング」という言葉で、「プロモーション」をイメージする人もいれば、「プロダクト開発」をイメージする人もいます。議論の際にはこの言葉の定義についても、コンセンサスを取っておいた方がいいと思います。この定義が曖昧だと、後々”そのつもりで言ったわけではない”などと振り出しに戻されることもあります。実際私も何度も痛い目にあいました。

このように議論の事前準備として、「目的の明確化」「検討範囲(各テーマ)の設定」「自分なりの見解」を用意しておきます。これらはミーティング参加予定者に事前シェアはしません。あくまでも自分の中での準備、理論武装をしている状態です。これをベースにどうやって議論を進めていくか次のPoint2で解説します!

ミーティングにおけるファシリテートの務め方

多種多様な意見を吸い上げる

チームメンバーとの議論、そしてクライアントへの提案など、コミュニケーションの取り方によって成果が変わってきます。これは私が現地で強く感じたことです。人はみなロジカルではありませんので、思い付きで発言していることも少なくはありません。

ここでは、どうやって相手と議論するかについてお伝えしてきます。まずは改めて議論の目的を明確に定めた上で、参加者に考えてもらうことから始めます。そこでCase1で準備したフレームワークのみをホワイトボードに書き、参加者に意見を求めながら、各テーマを埋めていきます。この時、私は自らの考えは言及せずに、ファシリテートに徹します。ここで重要なことは議論する参加者に意見を出してもらうことです。このプロセスを徹底することで、異なる立場であっても参加者全員が自由に発言することができます。

ある程度意見が出揃った段階で不足があれば、ここで始めて自分のアイデアを述べます。決して相手の意見を否定せず、様々な意見を聞き出し、すべて書き出す。これが効果的なブレインストーミング(ブレスト)です。結果的に自分が事前に用意していた内容に参加者の意見がアドオンされた形になります。その後、各要素同士をグルーピングしたり、優先順位付けをしたりしながら議論していきます。それが以下のような図になります。ここまでくれば一旦議論は終了です。


実際の議論の様子

新製品リリース・プロジェクトの議論の事例に当てはめる

ここからは、またファシリテーター1人の仕事になります。参加者全員の総意でまとめたものを、再び整理・統合していきます。議論された中で重要な要素 をピックアップし、再度バリューチェーンにそって並べ替え、下記のようなフレームワーク を作ります。このフレームは案件ごとに変わりますので、みなさんのプロジェクトに 合うようにカスタマイズしてください。


これをベースに関係各位の確認を取りながら全員が納得するまで、何度も議論を重ねます。ただ、事前に同意した意見をまとめる形なので、おそらく大きな問題もなくパスすると思います。議論の場で「言った、言わない」は不毛な水掛け論になります。そのため、このような資料や議論のプロセスそのものがエビンデスとなり、結果的に参加者全員が納得した結論に落ち着きます。よってコミュニケーションもスムーズに行く場合が多いのです。

目的にもよりますが、プロジェクトで重要なのは初動です。プロジェクトが進む前からボタンがかけ違っていては大きな成果は出ません。まずはコアな部分を関係者と共有することが大切です。 そして、全員の知恵を集約して進めることで、全員が納得したよりよいソリューションが生まれると思います。

シリコンバレーの仲間たち

最後に、海外でのコミュニケーションにおいて、絶対に避けて通れないことは信頼関係の構築です。杓子定規に行おうとしても反発を招くこともあります。議論での雰囲気作りや日々信頼関係を作る努力も欠かせない要素だと思います。

Interview1:学びを振り返って
――実践の過程で、私の中で劇的な変化が起こった

現地企業のPresident/COOとしてやり通す自信がありました

私がBBT大学院を卒業するころ、海外でチャレンジできる環境を探していました。そこで、ちょうどその時期にセゾン情報システムズがシリコンバレーで新会社の立ち上げメンバーを募集しており、早速エントリーしたのです。リクルーティングの過程で当時の面接官であり後に上司となる現セゾン情報システムズ代表取締役社長の内田和弘と出会い、当人から「立ち上げメンバーとして現地に行ってくれないか」とオファーをもらったときは、絶好のチャンスだと思いました。

グローバル企業である前職において新規事業開発に携わっており、そしてBBT大学院で2年間かけて実践的なトレーニングを積んできましたので、責務を担うできる自信はありました。そもそもBBT大学院での学びがなければオファーもされなかったと思いますし、チャレンジしようとも思わなかったかもしれません(笑)。

BBT大学院で学ぶ前は、自分の考えをベースに体当たりで試行錯誤しながらやっていました。何人もの部下がいましたが、マネジメント上、抜け漏れが生じたり的確な指示が出せなかったり… また徹夜の日々が続くことも珍しくなく、部下には相当迷惑をかけていました。ひたすら時間ばかり使い、生産性を上げられない自分をどうにかしなくてはと考えた結果、私に足りないものは大きく3つだとわかったのです。「全体俯瞰の視点」、「論理的思考」、「フレームワーク・スキル」です。

これらを補完するために、結果として私が選んだのがBBT大学院でした。理論のアカデミックな学びよりは、今この現場、そしてこの環境で結果を出すための方法を学びたかったのです。結論から言うと、私が足りないものはすべてこの大学院から学べました。

学位授与式(修了式)、大前研一学長と一緒に

例えば企画を一つ進めるにも、十分な情報収集や分析、解決策の提示を以前よりも抜けもれなく考え、実行することができるようになったと思います。また論理的な展開ができるようになったことで、部下とのコミュニケーションも円滑になりました。具体的な指示が出せるようになるに連れ、部下から上がってくるデータや資料の精度も増してきました。

そもそも昔の自分は狭い視野に捕らわれており、社会通念や常識といったものに疑問を持つことさえありませんでした。しかし、世の中には常にビジネスチャンスがあり、それをどう掴むかは自分の考え方次第だということをBBT大学院で痛感させられましたね。世の中で常識とされているものにこそ疑問を抱き、“本質はなんぞや”と考え抜き、解決策を見出していく「考える癖」が身についたことで、私は劇的に変化したと感じています。

この「考える癖」は、私が今いる環境では必須事項です。問題に直面すれば、それに対して一つひとつ個別に解を出していかなければなりません。これらを無手勝流に行っていては時間がいくらあっても足りません。しかし今は、客観的かつ全体俯瞰で物事を考えるようになり、ビジネスプランの策定、そしてプランの実行をより効率的に行えるようになったと思っています。

人そのものをしっかり見ることでダイバーシティは推進される

ここまでBBT大学院で学べたことをお伝えしましたが、各科目のすべてが私にとって実践でした。考え方をすぐに仕事に活用でき、自分なりの試行錯誤を経て工夫を加えることで、得た知見はさらに洗練されていったことを覚えています。特に、これだけ私が劇的に変われたのは一緒に学ぶ仲間の存在が大きかったです。

オンラインMBAということもあり、同期にはラオスや中国、ドイツなどに赴任しているクラスメイトがいました。そんな海外の仲間たちと各国の個別事情を含めた形でディスカッションができたことは、非常に有意義でした。もちろん日本国内でも様々な業種や立場の仲間がいましたが、いずれにせよ価値観や立場の違いがある中でのコミュニケーションは、みんなが納得できる「論理的な展開」こそ重要です。

よって各論でどれが正しく、どれが間違いということではなく、そもそも目的は何か?全体最適されているか?といった視点をもつ必要があります。それらを踏まえた上で、自分だったらどうするか?各々が独自のソリューションを見つけ出していくのが面白かったですね。

また入学当初は自分だけの価値観をベースに議論展開していた人たちも、ダイバーシティに富んだ環境でディスカッションを重ねることによって、徐々に建設性や受容性が増していく過程を目の当たりにできました。私自身たいへんな気づきがありましたね。この変化や在り方を、企業や社会においても推進できれば良いと思っています。それにあたり、たとえば「日本人だから」「アメリカ人だから」と括るよりは、「その人そのもの」をしっかり見ることが大事なんだと考えます。

チームメンバーとの懇親

迷ったら、まずはチャレンジを

私の当面の目標は、北米市場拡大のための戦略を策定することです。そのために北米市場で当社のプレゼンスを上げ、お客様に当社の製品の付加価値を理解してもらうことが必要です。現在、「HULFT, Inc.」の製品は、世界2位にまでシェアを広げていますが、内訳は日本やアジア市場がほとんどです。1位を取るためには、どうしても北米市場を開拓しなければなれません。

IT大国である北米市場の中で、ブランドのない日本のIT企業が戦っていくのは、並大抵の戦略では太刀打ち出来ないと思っています。IT分野において日本の製品やサービスが世界トップシェアを取った事例は、私の知る限りありません。成功事例がない、前例がない中でのチャレンジをしているのです。ITといえば北米という既成概念を壊し、日本企業初の偉業を成し遂げられたらと思っています。

私は何事もチャレンジが大切だと思っています。常に課題にぶつかってはそれを乗り越えていく力が、仕事や学び、プライベートでも共通して必要です。そのため迷ったら、立ち止まらずにチャレンジするという選択を取ることを心がけています。一歩踏み出せば課題は明確になり、解決に向けてかえって頭はさえてきます。そして気づくと結果はついてくるようになりました。

もちろん不安や恐怖はありますよ。しかしチャレンジせずに現状維持や無難な選択をしていても停滞はおろか衰退するだけだと考えます。人生は長くも短いです。どうせならチャレンジを続ける生き方を私は選択したいです。

Interview2:周囲の評価
――学びを実務に活かしているMBAホルダーを見て


内田 和弘さん / 株式会社セゾン情報システムズ 代表取締役社長
HULFT事業部部長として北米進出計画を手がける中で、丸山さんを直接採用したご本人。現在は代表取締役社長として、新たな立場でHULFT, Inc.をスーパーバイズされています。

彼なら必ずやれると確信しています

当社では、HULFT事業のグローバル化にあたり、海外でビジネスデベロップメントができる人材を探していました。 彼と初めて会ったのはその当社の採用面接の時でした。私が彼を選んだ理由の一つは、幼少の頃から創業経営者であった祖父に強い興味を持っていたことです。何もないところからビジネスデベロップメントを行うにあたり、創業精神を肌で感じ理解しているかは重要なことです。加えて、知らない土地で仕事をするにはストレス耐性もとても重要になります。どのような状況においても物怖じせず、色々なものを許容できる包容力、懐の深さを感じたことが二つ目です。

おそらく、採用条件は当社が一番悪かったと思いますが、金銭面やポジションは後からついてくるということを理解していたのでしょうね。 “一緒に世界一になりましょう”という我々の思いに対し、彼は入社を決断してくれたのだと思います。後からわかったことですが、本気ならば日本にある自宅を売るのだろうなと思っていましたが、案の定、彼は売却していました。改めてその覚悟を目の当たりにし、海外に送り出した今、彼への期待は確信に変わっています。

正直、MBAに対して私は肯定的な方ではない、しかし…

MBAを取得したからといって誰もが出来る任務ではないと思っています。正直、MBAに対して私は肯定的な方ではないし、どう使うかはその人次第だと思っています。私自身、業務知識や理論は実体験を通じ必要に応じて学び、身につけてきました。特に私は多くの事業の立ち上げに関わる機会に恵まれ、そのために読みあさったビジネス書は数知れません。多くの諸先輩方々に教えを請うてきましたが、実践体験に勝る学びはないと確信しています。よって、若くして経営に携わることはとても良いことだと思っています。

しかし、知識やスキルを持っていないと、結果を残すチャンスを逃すこともあります。ビジネスに関しても学びに関しても、私の時代と今の時代はスピードが違います。eラーニングを始めとした新たな学習手法、ソーシャルメディアの活用、ICT、IoT、コンテンツの量も、私の時代とは比較になりません。よって誰もが学びやすい環境になったことは間違いありません。若いときから多くの引き出しを持ち、その時のために備えることも大切だと思います。そういう意味でも、彼はすでに多くの引き出しを持っています。この先、その知識が実践を通じてさらに生きてくる時が必ず来ると思います。

若い人たちにはどんどん挑戦してもらいたい

彼は正直まだ若い。若いからこその失敗もあるだろうし、ロジックだけで通用しないこともあるでしょう。問題に直面するたび、その事実を素直に、そして謙虚に受け止め、どこまで丁寧に一つずつ解決していけるか。そしてそこからどう乗り越えていくかを知識だけではなく、実践しながら学んでいってもらいたいと思います。そんな彼の「生き方」をみて、彼に続いていく若者たちが出てきて欲しいと思っています。

Mr. Dave Corbin / CEO, HULFT, Inc.
現地法人を丸山さんとともに立ち上げた経営者 。様々な困難を二人で乗り越えてきた。

彼の強いリーダーシップと実行力がここシリコンバレーに強固な基盤を築いた

HULFT, Inc.のCEOとして丸山さんと一緒に働きながら感じたことは、彼はチームにとって手本となる強いリーダーシップを発揮するだけでなく、実行力を兼ね備えた素晴らしいリーダーであることです。

彼の功績として、ここシリコンバレーに初の現地法人となる、まさに基盤を築き上げることに成功したことが挙げられます。それは、HULFT, Inc.にとっての第一歩です。米国でプレゼンスのない中、何もないところから会社を立ち上げ運営していくことはそう簡単なことではありません。しかしながら、彼は設立するに伴う法務、財務、人事に関連する外部委託業者の選定及び契約を着実に推進し、また、立ち上げのコアメンバー採用も行うことで、現在9名のチームにまでなっています。

彼の強み、それは「経験」「許容力」そして「提案力」

彼の素晴らしいところは、法務、財務、人事、業務推進といった会社運営の基礎知識はもちろん、シンプルな業務から複雑な経営的決断に至るまで様々な分野の仕事をやりこなせる高いケイパビリティです。

また、豊富なビジネスデベロップメントの経験をたよりに、米国での顧客獲得の推進も着実に行ってくれています。クライアントとのコミュニケーションにおいて、クライアントが求めているものを的確に理解し、最適なソリューションを提供していく力があるのです。

MBAの学びを通じて、市場開拓、マーケティング、製品企画開発、財務、法務、人事など、ビジネスを成長させるためのベースを学んだことでしょう。そんな彼のケイパビリティは会社にとってのかけがえのない資産です。

チームの手本となってHULFT, Inc.を更にリードしてもらいたい

彼は仕事に熱心で、リーダーシップと実行力を兼ね備えています。彼には、今後もセールス・マーケティング、コンサルティングサービス、サポートサービスを通じて、またチームの手本となって、HULFT, Inc.にさらなる貢献をしてくれることを期待しています。そして、その結果こそが、彼自身の成長とプロフェッショナルスキルの向上につながることと思っています。

丸山 奈緒子さん /丸山 昌宏さんの奥様
夫である昌宏さんがBBT大学院在学中に、家族を献身的に支えてきました。在学中の苦労やその先で得たものをご紹介いただきます。

卒業まで2年間、一緒に頑張ってほしい

それが主人の切羽詰まった言葉でした。 そばで見ていてBBT大学院は正直、大変だと思います。主人は仕事自体が忙しく責任感も強いので、仕事と勉強の両立にもがいていました。週末は、一日中部屋にこもったまま出てこない主人… 息子は、目の前に居るのに頼れない父親に対してもどかしさを感じていました。息子も私も気を遣っており、父親と子どもの姿が多い週末の公園で、パパの代わりにキャッチボールをしたりと、息子に寂しい思いをさせていました。

前を向いて努力し続ける父の背中を見ながら息子も成長している

一方で家族にとって良い側面もありました。朝早く起きて机に向かう主人を見ながら、息子もいつしか早起きして隣でドリルを毎日するようになりました。それが今でも習慣になっています。また、いつも「かまってちゃん」だった息子が自分一人で好きなことを見つけ、自分の時間を楽しむことができるようになったことも、たしかな成長につながっていると思っています。

主人が大きく変わったこと

以前、「今が楽しめない、頭から仕事のことが離れない」と主人はよく言っていました。オン/オフの切り替えが出来なかったので、仕事が常に頭から離れないようでした。BBT大学院在学中は、相当量の情報を短い時間でしっかり考え判断しなくてはいけない状況だったと聞いています。そのお陰だと思いますが、否応なしにも効率・要領が良くなったと思います。今では、オン/オフの切り替えもうまくなり、家族と過ごす時間は他のことを忘れて思いっきり楽しむことが出来ているようです。

また、子どもへの教育スタイルも変わりました。今までは上から「ああしなさい」「こうしなさい」「これはこうなんだ」というティーチングが多かったです。それがBBT大学院で学び始めてからは、質問を投げかけ何がわかっていないのかを一緒に考え、どう解決したらよいか?と問いかけるコーチングスタイルに変わりました。「何でできないんだ」じゃなくて、「どう思う?どうしたらできるかな?」と、相手に合わせて答えを導かせる。すると、寄り添う父親を子供も慕うようになり、親子関係も良くなりました。

また、「問題解決思考」のトレーニングのせいでしょうか、家族の趣味嗜好など様々な分野に興味を持ってくれるようになり、家庭内で会話がはずむようになりました。今まで主人は、自分の仕事や趣味に関係すること以外は興味がなく、子育てや教育について話をしても「わかんない、どうだろねぇ…」と流されていましたが… 学びを通じて何が問題でどうやって解決したらよいか、話をしっかり聞いてくれるようになりました。おそらく、自分の専門分野でなくても、多角的に物事を見られるようになり、興味が広がり、そして内容が変わっても様々な分野で話が出来るようになったように感じます。

主人はこんなことを言っていました。「考えることに徹すると、どんなインプットも様々な機会でアウトプットできる。プライベートから仕事のヒントを得て、仕事でやっていることがプライベートでも使えることがある。」

主人はまるでTVアニメのスポンジ・ボブのようです

少なくても私にはそう見えます。ポジティブで人を寄せ付ける力があり仕事熱心なところが、スポンジ・ボブのキャラクターにそっくりです。熱心がゆえにぶつかることもありますが、相手と意見や環境が違ってもゴールが一緒であれば、それに向けてどうやって一緒に協力し合えるかアジャストしていくタイプです。困難な環境に直面しても、決してひるまず、どうやって乗り越えられるかを一生懸命考え、自分自身でどんどん成長していく。文字通りスポンジのような人物です。

そんな主人がBBTのMBAを選んだことで、新たな人生を切り開いてくれたのだと思います。そのおかげで今の生活、今の家族があります。人生は一度きりですし、その人生で後悔はしてもらいたくないので、できるだけその環境を整えてあげたいと思っています。

私は主人のやりたいことを応援し続けたいと思っています。そして、もし主人が道を外しそうになったり、立ち止まったりするようなことがあれば、全力で向き合い、一緒に解決していきたいです。